「三線道路」と聞いて、一帯どんな道路を思い浮かべますか。三車線の道路?それとも三線という場所にある道路でしょうか?

なんとも聞きなれない単語ですが、知らなくても決して不思議ではありません。そんな形の道路なんて、そもそも数が多くないからです。さらにこの単語自体、現在ではほぼ死語も同然なのですから。

この「三線道路」とは元々、日本統治時代の台湾台北にあった道路を指す名称です。旧台北城の城壁を解体した跡に敷設された道路が、このように名付けられました。完工当初は中央の車道と両脇の広い歩道に分かれていましたが、現在では歩道部分も車道に転用されています。

以上を踏まえ、今回は「三線道路」を以下のように定義しておきましょう。
三線道路図
▲典型的な「三線道路」の図

・車線が本線と側道に分離されており、かつ各々が同一平面で並行している道路。
・かりに、本線の上下線が中央分離帯で分けられていた場合もこれに含める。



やがて、「三線道路」は台湾全土に波及し、現在でも台北をはじめとする各都市で見られる一方、日本ではあまり多く見られません。私が把握する限りだと、大阪市の「御堂筋」(淀屋橋以南~難波以北)と「なにわ筋」(土佐掘1以南~塩草2以北)ぐらいです。御堂筋は一方通行のため、上の定義に完全にあてはまるのは「なにわ筋」だけとなります。

日本の「三線道路」はこれだけかと思っていたところ、九州から近い山口県宇部市にも存在することが分かりました。宇部にある「三線道路」はその名を「常盤通」といい、宇部市役所に近い中央町1丁目交差点から松山1丁目交差点までの区間が「三線道路」になっています。距離にして約800メートルと短いですが、幅の広い堂々たる姿を横たえています。

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▲常盤町2丁目交差点から、常盤通を眺めて(手前から歩道、側道、本線、側道、歩道、宇部井筒屋)
実際に車道が3本並んでいる様子が分かります。ただし、常盤通の「三線道路」は他のケースと異なる点を有しています。

まずは側道の重要性が低い」という点。台北や大阪の「三線道路」だと、側道も本線並みに整備されており、側道にも一定の交通量があります。それとは対照的に、常盤通の側道には簡易舗装の場所もあり、状態はよくありません。交通量も低いのです。その背景には、次のような点があります。

それが「本線には左折・右折両レーンともある」という点です。「三線道路」というのは、基本的に側道の重要性も高いですから、本線には右折レーンのみ、側道には左折レーンのみが置かれ(台湾だと左右は逆)、交通量が分散するように設計されています。つまり、本線走行中に左折したい場合は、いったん側道に入る必要があるということです。

どうやら「常盤通」は「三線道路」でありながらも、性格はスタンダードな2車線路に近いようです。

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▲本線側に設置されているバス停
側道の重要性が薄いので、バスは当然ながら本線を通行します。そのため、バス停は本線と側道の間に置かれています。その姿は路面電車の電停に近く、どこか台北や嘉義のバス停をも想起させます。

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▲「電停」のようなバス停から車道を眺めて

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常盤通を西に進むと、左手に古めかしい建築が見えてきます。これはかつての宇部銀行本店(近代化産業遺産)で、現在では多目的施設「旧宇部銀行館」として保存活用されています。

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▲旧宇部銀行館「ヒストリアル宇部」入口

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▲旧宇部銀行館「ヒストリアル宇部」(旧:宇部銀行本店)外観

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やがて右手に宇部市役所が見えてくると、すぐに真締川を渡って中央町交差点に至ります。

DSCN1563.jpg
さきほど、「三線道路」区間は中央町交差点までと説明しましたが、実際には宇部市役所前でほぼ終点です。側道は市役所前で終わり、2車線で真締川を渡ります。あえて中央町交差点を終点としたのは、同交差点の手前に数メートルほど、側道が残されているからです(ただし片側のみ)。

短い区間ながら「三線道路」となっている常盤通を見てきました。福岡県内にはこのような道路などありませんし、山口県でもこれ以外に見たことはありません。もしかすると、私が把握していないというだけで、日本各地にあと数か所はあるかもしれません。

もし「三線道路」が近所にあるという方はぜひ、当ブログにご一報ねがいます。

撮影日:2016年7月24日



(追記)
「三線道路」の存在が名古屋市内を通る「桜通」で確認できました。泥江町以東、日銀前以西の区間に本線とは別に、側道が敷設されています。Eckarta様、情報提供ありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。

(追記)
北海道函館市「東雲広路」、同札幌市「東15丁目屯田通り」で三線道路を確認できました。レラティー様、情報提供ありがとうございます。

また、神奈川県西区「東海道(国道1号線)」久保町以東~浜松町以西、広島県広島市「駅前通り」松川町以北~稲荷町以南でも「三線道路」を確認しています。
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  コメント
確かに
三線道路って聞かないなあ…


仕事で毎日走るエリアの道路、右折左折のレーンはあっても、側道は無いし…。


って、意外と都心部にあったりして。休日は運転しないんで、見る機会がね…


あとは、グーグルのストリートビューを活用かな?
焼きそば #t50BOgd. [ 編集 ]    2016年09月16日(金) 09:33
焼きそばさん
どうしても側道付きの道路となると、高架道路が主流になるんでしょうね。高架道路なら福岡にもごまんとありますが、どうしても「三線道路」は見つかりません。

山村部には無いと思うので、県庁所在地・政令指定都市級の都市を探すのが一番簡単な手段だと思います。
wra #9MBBB9Tg [ 編集 ]    2016年09月16日(金) 23:08
初めまして、時々お邪魔させていただいておりますEckartaと申します。

「三線道路」という言葉、初めて聞きました。
名古屋市に名古屋駅から東に伸びる「桜通(さくらどおり)」という大通りがあるのですが、その一部区間(泥江町〜日銀前)が、三線道路のような形態だったかと思います(Googleストリートビューで見られます。違っていたらゴメンナサイ!!)。
Eckarta #v8yxogZs [ 編集 ]    2016年09月17日(土) 01:43
三線道路の図が入るとよく理解出来ました。こんなに貫禄がある道路があるとは驚きです。ヒストリではよく水墨画を描いたり展示をしました。宇部市のメインストリートが一段と貫禄をつけました。隣の街ながら感謝致します。
くんざん #- [ 編集 ]    2016年09月17日(土) 17:29
Eckartaさん
Eckarta様、この度は当ブログへのコメントありがとうございます。

> 「三線道路」という言葉、初めて聞きました。

ああいう形態の街路に名称が付いていないようなので、便宜上「三線道路」と命名しました。都市開発について関心のある方を中心に、ぜひこの言葉を使ってもらえたらと思います。


> 名古屋市に名古屋駅から東に伸びる「桜通(さくらどおり)」という大通りがあるのですが、その一部区間(泥江町〜日銀前)が、三線道路のような形態だったかと思います(Googleストリートビューで見られます。違っていたらゴメンナサイ!!)。

先ほど桜通の該当区間について調べてみました。たしかに仰る通り、泥江町~日銀前間が「三線道路」になっていますね。本線と側道をつなぐポイントが沢山あって、大坂のなにわ筋よりも左折レーンに入りやすそうです。

情報提供ありがとうございます!
wra #9MBBB9Tg [ 編集 ]    2016年09月18日(日) 22:35
くんざんさん
こんなに広い道路があるのには、さすがは山口屈指の産業都市宇部だなと思いました。なかなか行かない場所だけに、市街地を少し歩けば沢山の発見があって面白かったですよ!

これでひとまず、7月末に取材した宇部近辺の地域情報はすべて放出しました。沢山のコメントありがとうございます。
wra #9MBBB9Tg [ 編集 ]    2016年09月18日(日) 22:47
なるほど。
ここの通りはいつも車で通るたびに変な形をしているなと思っていました。

宇部市には興産道路なる物があるのですが三線道路というのもあったのですね。
atushi #- [ 編集 ]    2016年09月19日(月) 01:31
atushiさん
やはりこっちの方には珍しい形の道路なんですね。私も福岡近辺にあるとは思ってもいませんでした。

ちなみに三線道路という名称は、私が便宜上つけたものです。この記事を通して、奇妙な形の道路に関心が向けられることを期待しております。
wra #9MBBB9Tg [ 編集 ]    2016年09月20日(火) 15:10
「三線道路」??と思ったら、こういう道路ですね。タイホクが発祥地なんですね。

個人的には、運転する際は注意すべき点が多くなるので好みませんが、街角観察的には面白く感じます。
そもそもメリットを感じませんが・・・

こういう形態の道路は、北海道でも何箇所かあります。
×札幌市中央区北1条西4-7丁目ぐらいの北一条通り(交通が錯綜することや(路線バスは必ず側道を通る)、地下駐車場を造る関連か、普通(?)の道路になりました)

○札幌市北区屯田6,7条3-12丁目(所々途絶える、バスは停留所がある所だけ側道を通るので運転しづらそう)

○函館市東雲町(東雲広路、市役所前、側道は事実上駐車場)

<参考>札幌市北区篠路、太平(国道231号、上り(南行)のみなので二線道路)

他にもあったような気がしますので、思い出したらお知らせします。
レラティー #rcEo15nI [ 編集 ]    2016年09月22日(木) 09:40
レラティーさん
> 「三線道路」??と思ったら、こういう道路ですね。タイホクが発祥地なんですね。

特定の意味を示す造語を造っていくって面白いです(三線道路はまんま借用語ですが)。こういう時に台湾に関する知識が役立ちました。私もこの知識を生かして、台湾に関する小論を一本出してみたいです。


> 個人的には、運転する際は注意すべき点が多くなるので好みませんが、街角観察的には面白く感じます。
> そもそもメリットを感じませんが・・・

車線変更をする必要が増えるので、三線道路での運転はしづらそうですよね。


> こういう形態の道路は、北海道でも何箇所かあります。
> ×札幌市中央区北1条西4-7丁目ぐらいの北一条通り(交通が錯綜することや(路線バスは必ず側道を通る)、地下駐車場を造る関連か、普通(?)の道路になりました)
>
> ○札幌市北区屯田6,7条3-12丁目(所々途絶える、バスは停留所がある所だけ側道を通るので運転しづらそう)
>
> ○函館市東雲町(東雲広路、市役所前、側道は事実上駐車場)
>
> <参考>札幌市北区篠路、太平(国道231号、上り(南行)のみなので二線道路)

北海道は凄いですね~!独特の都市計画が行われてきたがためか、平面側道を持つ道路が多いですね。貴重な情報ありがとうございます。
wra #9MBBB9Tg [ 編集 ]    2016年09月23日(金) 22:32
周南市の徳山駅前の御幸通りも宇部の常盤通りと同じ幅員で同じ形状です
なお記事中「常盤通」と記載されていますが正式には「り」がつきます
通りの「り」がつかないのは京都や札幌など一部の都市だけです
#- [ 編集 ]    2017年02月10日(金) 11:02
某さん
どなたか存じませんが、コメントありがとうございます。


> 周南市の徳山駅前の御幸通りも宇部の常盤通りと同じ幅員で同じ形状です

貴重な情報、感謝です。探せば結構あるものなんですね。


> なお記事中「常盤通」と記載されていますが正式には「り」がつきます
> 通りの「り」がつかないのは京都や札幌など一部の都市だけです

わざわざありがとうございます。ブロガーの方ならば、名乗っていただけると拝見したいところですが・・・
せっかく良いコメントなのに、このように書き捨てては"揚げ足取り"と勘違いされますよ?
wra #9MBBB9Tg [ 編集 ]    2017年02月10日(金) 17:35
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