福岡県北部の大都市・北九州市といえば、皆様なら何を思い浮かべますか?
近代日本の黎明期を支えた八幡製鉄所、20世紀前半の風情漂う門司港レトロ、糠味噌炊きで有名な旦過市場・・・広大な市内には見どころがまんべんなく存在します。

今回の訪問地・小倉北区は北九州市の中心地といっても過言ではなく、多くの列車が発着する小倉駅、北九州市役所など、市民生活に欠かせない施設が集中しています。その歴史は古く、かつては小倉藩の城下町でした。

また、長崎街道の起点でもあり、江戸期の物流に欠かせない大動脈の中に位置していたと言っても、決して過言ではないでしょう。そのため、小倉界隈には市内のどこよりも古い史跡が揃っているのです。

JR小倉駅から西小倉駅までの一区間を歩き、小倉の街の魅力に迫ってみましょう。今回は「松山・小倉フェリー」が発着する小倉港からスタートです。

DSC07140.jpg
秋の嵐は空をも隠し、おかげで小倉の空は生憎の曇りです。煙突から吐き出される煙は雲に吸い込まれ、一層雲の色を黒く染めあげているような錯覚を覚えます。数十年前の北九州だったら、文字通り「有害物質」が空を染め上げていたかもしれませんが、今や北九州は日本有数の環境都市です。

今回こそ「フェリーくるしま」を見てやろうと思い、「松山・小倉フェリー」乗り場に行ってみたところ、またしても毎回見かける「フェリーはやとも2」でした(写真上)。博多港で大型フェリーを見慣れてくると、「はやとも2」クラスの船体でも小さく見えてしまうものです。

DSC07141.jpg
市民ランナーが体を鍛える緑地帯を抜け、ペデストリアンデッキを上がると小倉駅まで道なりです。西日本総合展示場から小倉駅までの間には屋根が付き、傘がなくてもぬれずに移動することができます。また、空港でお馴染みの「動く歩道」も整備されています。

小倉駅の中を通り、駅南口に出ると活気あるアーケードの前に出ます。このあたりの雰囲気はどことなく、福岡市内の唐人町アーケードにそっくりです。アーケードを進まず、右折して少し怪しげな路地を進むと、長崎街道の起点・常盤橋に至ります。小倉駅と紫川に挟まれるエリアは古い風俗街のようで、昭和の香りを留めています。昔は仕事帰りの労働者で賑わったのでしょう。

DSC07142.jpg
紫川に架かる木橋「常盤橋」を渡れば、いよいよ長崎街道の始まりです。橋を進ると、足元からコツコツと楽しい音が聞こえてきます。無機質で冷たいコンクリート橋にはない、木橋ならではの楽しみです。

DSC07143.jpg
常盤橋を渡り終えると、長崎街道の細い道がまっすぐ続いています。ここから西小倉駅付近までの数百メートルにわたって、歴史的景観を重視した街づくりがなされ、和洋が混合したレトロな雰囲気が漂っています。


長崎街道を進むと、「小倉縣廳ノ址」と刻まれた石柱が見えてきました。明治初期のわずかな間ですが、長崎街道沿いに小倉県庁が設置されていました。設置年は1871(明治4)年、廃止年は福岡県に編入された1876(明治9)年と、実は県庁としての機能は短命で、その後は警察署・裁判所などに供されていました。石柱は1929(昭和4)年に設置されたものです。


県庁としての役目を終え、はや100年以上となる旧小倉県庁はその一部が今も残っています。国道199号線沿い、リバーウォーク北九州の目の前にある、青い洋館がまさにそれです。現在では綺麗に修復され、おしゃれな店舗として活用されています。

旧小倉県庁に別れを告げ、再度長崎街道へ。街道沿いには小さな工芸品店や食事処が軒を連ね、歩いて散策するにはもってこいです。ある工芸品店の横を通ると、店主とおぼしきお姉さまと目が合いました。素通りするだけの私にもにっこりと会釈するその様は、私に人情味あふれる小倉を実感させるものでした。


街道筋をさらに進むと、昔ながらのたたずまいを残す定食屋が見えてきました。半分開けられた厨房への入口からは麺類でしょうか、美味しそうな香りがしてきます。そんな香りに釣られてきたのか、それとも店に飼われているのか、厨房入口に黒猫が座り込んでいます。

やがて黒猫は店を離れ、駐車場に落ち着きました。猫の前で足を止めると、たちまち気ままな猫のペースに引きずり込まれ、時間がゆっくり流れているかのように思えてくるものです。


再現された明治期のポストが見えると、まもなく西小倉駅です。たった1駅間でも、歩いてみればたくさんの面白い物件、怪しい物件が見つかります。時間があるときは、ぜひ運動がてら「街歩き」してみては如何でしょう?

撮影日:2015年9月12日
関連記事




にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道旅行へ にほんブログ村 海外生活ブログ 台湾情報へ にほんブログ村 地域生活(街) その他ブログ ゆるキャラへ

「ご当地」の魅力をより多くの方にお伝えするため、ブログランキングに参加中です。

バナークリックの方もよろしくお願いいたします。



上のリンクからチャンネル登録できます。台湾旅行に興味のある方、レイルファン・ご当地キャラファンの方、どうぞ気軽にお立ち寄りください。




スポンサードリンク
  コメント
小倉と聞くと…
村田英雄の曲だったかな?小倉生まれで玄海育ちってフレーズを(古っ)。


それから小倉競馬場に、ひよこ饅頭かな?あれ、確か九州ですよね?桃鉄でもぴよぴよまん屋が登場するし(笑)。


ひと駅歩く、かあ。京成沿線は、歩く間にどの店に寄ろうかな?ってなってしまうんですよ(^^;
焼きそば #t50BOgd. [ 編集 ]    2015年09月14日(月) 19:01
焼きそばさん
ひよこ饅頭はそうです、福岡銘菓です!
土産に買って行くと、いつも「可愛い」と喜んでもらえるお菓子の一つなんですよ。東京にも同じようなものがありますよね?

最近、ブロガーの間で「街歩き」がブームになってきているようですし、テレビでも扱われるようになったので、これからは当ブログでも頻繁に「街歩き」について扱っていこうと考えています。
wra #9MBBB9Tg [ 編集 ]    2015年09月14日(月) 21:03
No title
今晩は。今はとにかく歩かなければいけないので、歩いてます。
仰るとおり見慣れた街の中にでも初めて見るものや意外なものが見えてきてます。
さんいー #- [ 編集 ]    2015年09月15日(火) 21:52
懐かしいです!
小倉駅南口から魚町銀天街を通って旦過までは定番コースでした。
今回歩かれた道、特に木橋。
そんなのあったけ?なんて小倉にいたのに知りませんでした。
学生時代ならこの街歩きのよさはわからなかったでしょうが、今ならこういう街歩き楽しめそうだなぁと思いました。
今度帰省したら歩いてみたいです。
アッキーナ #- [ 編集 ]    2015年09月16日(水) 18:40
さんいーさん
意識しないと見落としがちな物件って沢山あるんですよね。何気ないものでも、実は悠久の歴史を持つことがあるので、いちいち調べてみてみると面白いものです。ネットの世界広しといえども、誰も手を付けていない分野がありますし・・・
wra #9MBBB9Tg [ 編集 ]    2015年09月17日(木) 14:45
アッキーナさん
小倉といえば、どうしてもガラの悪いイメージが先行して独り歩きしていましたが、必ずしもそれだけでは無いということを、改めて再確認することができました。飯塚にしても小倉にしても、昔の労働者で賑わっていたころの活気がかすかに残り、なんともいえない趣と化しているのが良いです。
wra #9MBBB9Tg [ 編集 ]    2015年09月17日(木) 14:47
No title
嘗て「七色の空、死の海」とまで言われた北九州工業地帯の公害を、全く感じさせない美しさですね。
門司港レトロのような光景が小倉にもあるんですね。

私が訪れたときは、北海道ではありえないほどの、スコールかと思うほどの豪雨で、アーケードに逃げ込んだ記憶が強いです。

あとは、さすが西鉄発祥の地、西鉄バス北九州の本数の多さには感心しましたが、夕方ラッシュ時でも座れる程度の客しかおらず、衰えも感じてしまいました・・・
その西鉄の電車の車庫だったらしい、当時は珍しかった複合商業施設チャチャワールドで、服など買ったものです。
バス専用道も、過去の記憶になってしまいました・・・

空港連絡バスで見た小倉城、仰ったレトロな街並み、あとは平尾台には訪れてみたいものです。


(2・28事件、日本人の犠牲者もいたとは驚きました)
http://news.ameba.jp/hl/20150915-1098/
レラティー #rcEo15nI [ 編集 ]    2015年09月17日(木) 22:22
レラティーさん
意外と北九州にも、福岡に負けじと観光スポットが沢山あるんですよ。小倉の事情はだいぶ把握していたつもりでしたが、実際にはまだまだ知らないことばかりです。

枝光・戸畑線の専用軌道区間はいつの間にか一般道化してしまいましたね。折尾~熊西間の廃線跡も宅地化が進んでいますし、今後同線跡の痕跡はより一層薄くなることでしょう。


228事件の犠牲者に内地人がいたことは、恥ずかしながら存じておりませんでした。ニュースでは便宜上、日本人ないし外国人犠牲者として報じられていますが、事件当時はサンフランシスコ条約前で、日本が台湾島・澎湖島の放棄を強いられる前のことでした。中華民国政権はあくまでも「連合国の一員としての進駐・占領軍」にすぎなかったので、ある意味ではこの事件を「中国人による日本人大量虐殺」と解釈することもできます。
wra #9MBBB9Tg [ 編集 ]    2015年09月21日(月) 08:41
コメントを投稿する
URL(任意):
コメント:
Pass(削除用):