2012年秋、私は志免町中の坪公園に保存されていた、古い蒸気機関車のもとを訪れました。現在、大分県玖珠町の旧豊後森機関区で保存されているその機関車―9600形29612は当時、放置に近い状態で保存されており、ボロボロに朽ち果てようとしていました。

SN3U1229.jpg
筑豊地区で長編成貨物を牽いたのも今は昔。塗装は剥げ、灯火類は修復されないまま錆だらけになっていました。

SN3U1231.jpg
▲9600形29612を公式側から
デフレクタは門鉄タイプではなく、標準型に点検窓のついたものです。煙突は化粧煙突からパイプ煙突に改装されています。ランボードは2段に変形済み。

SN3U1222.jpg
▲9600形29612を非公式側から
砂箱が変形されており、蒸気ドームよりも高くなっているのが一番の特色です。

SN3U1228.jpg
ボイラ底の痛みも激しく、穴が開いている個所も存在したでしょう。

SN3U1226.jpg
大型化されたキャブ窓には窓枠すらなく、代わりに鉄柵がはめられていました。何とも寒々しく、もの悲しい光景でした。

SN3U1224.jpg
▲雨垂れが痛々しいテンダー
長らく放置された挙句、ついに老朽化を理由に解体を迎えようとしていました。ところが、そこに救いの手が差し伸べられ、大修復を経て大分県玖珠町に安住の地を得ました。

昭和20年8月9日当時、どうやら長崎の浦上区に所属していたようで、原爆投下直後の長崎市周辺を走行した可能性は非常に高いです。今となっては知るすべもありませんが、投下時、同機がどこにいたのか気になっています。「被爆機関車としての29612」はあまり知られていないので、最後に記しておきます。

撮影日:2012年11月4日
関連記事




にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道旅行へ にほんブログ村 海外生活ブログ 台湾情報へ にほんブログ村 地域生活(街) その他ブログ ゆるキャラへ

「ご当地」の魅力をより多くの方にお伝えするため、ブログランキングに参加中です。

バナークリックの方もよろしくお願いいたします。



上のリンクからチャンネル登録できます。台湾旅行に興味のある方、レイルファン・ご当地キャラファンの方、どうぞ気軽にお立ち寄りください。




スポンサードリンク
  コメント
と、いうことは…
まさに“屍を晒す”というか…いや、人為的なものであって、車両が望んだことではなかったはず。
文脈からは修復後の姿も続きで拝見できるのでしょうか。
そこが救いというか楽しみです。

こういうの、見かけるたびにこころが痛みます。最初は単に“持ってくれば”“ここに置けば”だったのかも知れませんが、
提案した…地方自治体の役人なのか代議士なのかは判りませんが、維持にも予算が必要だなんて考えてもいなかったんでしょうね。

北海道でも廃止路線などで、かつて走ってた車両が展示されてますが、これがカサブタだらけだと悲しくなってしまいます。
ところによってはボランティアが(=見かねて)、自主的に修復作業を行ってるんですよね。

>被爆機関車としての29612

これをもってしてだけでも、保存は意味がありますよね。

中林20系 #- [ 編集 ]    2015年10月16日(金) 20:15
捨てる神あれば
拾う神あり、ですかね。


やはり、放置され朽ちていくのを待つだけ、ってのは忍びないですから…。


○○を保存する会、なんてのを耳にしたりしますが、相当な労力なんだろうなあ、って思います。


この機関車だけでなく、当時の長崎市内には、同じ目に会った車両が沢山いたでしょうから、歴史を掻い潜ってきた証人、てとこでしょうか。


復元後の画像が見られるのを願います。
焼きそば #t50BOgd. [ 編集 ]    2015年10月17日(土) 20:48
こんにちは。

9月に志免町へ行ってきました。
今連載中なので、まさにタイムリーな話しで…。

この蒸気機関車、鉄道公園内にあるものだと思って探し回ったのですがありませんでした。
移転していたとは…。

解体される運命だったとは少し悲しい話しです。
新天地での愛されることを期待したいですね。
宿はなし #- [ 編集 ]    2015年10月19日(月) 14:21
宿はなしさん
ご存知でない方、結構いらしたんですね。保存車両はいつの間にか移転・修復されていることがあるので、私も車両修復の報を修復から1年以上後に知ることが多いです。

豊後森には29612のほか、数量の機関車が置かれるみたいなので、今後を楽しみにしているものです。
wra #9MBBB9Tg [ 編集 ]    2015年10月20日(火) 00:53
焼きそばさん
戦時中といえば汽車が酷使された時代ですから、仮に29612が原爆投下時に長崎近辺にいなかったとしても、何らかの形で被爆直後の長崎を走ったことでしょう。その点では非常に歴史的価値の高い車両です。

そんな機関車を早く手放したといわんばかりに、易々と朽ちさせてしまい、結局保存会に任せてしまう大多数の行政には残念に思えてなりません。
wra #9MBBB9Tg [ 編集 ]    2015年10月20日(火) 01:06
中林20系さん
最近では保守作業が面倒になり、次々に保存車両が解体される中、場所によっては丁寧な修復を受けるなど、車両によって運命が大きく変わっているところに「車両保存」の抱える難しい問題を見ることができます。
29612が行政の怠慢から救い出され、扇形車庫の見える場所に展示されるようになったのは良いことです。何事も行動を始めることが大切なんですね。
wra #9MBBB9Tg [ 編集 ]    2015年10月20日(火) 01:10
コメントを投稿する
URL(任意):
コメント:
Pass(削除用):