ある日、黒崎駅に降り立ってみるとそこには、ED76の姿がありました。

長らくブルトレ・貨物牽引の主役を担っていた同形式ですが、九州ブルトレ全廃を受けてJR九州所属は全滅。JR貨物の方でも、EF81のうち北陸出身機が勢力を増し、さらにEH500導入を受けて勢力を減らしつつあります。

10年前まで当たり前に見られたED76も、今では希少種と化しました。そんなED76のうち、1000番台の1016号機が短い貨物を従えて佇んでいるではありませんか。

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ED76牽引の貨物には時折すれ違うとはいえ、停止中の姿を見る機会は案外多くないものです。これは好機、早速近づけるだけ近づいて、じっくり観察してみましょう。

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ED76が牽引するのは濃硝酸タンクを積載したコンテナ車2両。どうやら濃硝酸タンクは空のようです。

まだ発車しないのか、お馴染みの騒がしいブロワ―音はなく、機関車周囲は静寂に包まれています。長崎行き「さくら」の任を迎えるべく、鳥栖でじっと佇む90号機の姿が思わず脳裏に浮かんできました。

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▲ED76-1016
待機中のED76―同1016号機は、数少ない現役のED76形です。同機は後年の更新により、側面に白帯をまとい、乗務員扉はステンレス製に変更されています。

既に同形式の保存車が発生している中、鉄道貨物輸送の前線で最後の活躍を見せています。

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▲ED76-1016を側面から
小さな中間台車が九州の交流電機らしさを引き出しています。車体が原型でかつ、後ろに客車が繋がっていれば、もう完璧じゃないですか。

EL牽引の客車列車独特の重厚さは、DE10や「ななつ星」ではもはや再現できないでしょう。「国鉄を知らない世代」とはいえ、九州ブルトレ・ED76形0番台(大分区所属)の最期を見届けることが出来た私は本当に幸運でした。

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国鉄分割民営化から間もなく30年、国鉄型は少数派に転じ、今やJR世代の形式でも廃車が進んでいます。刻々と1990年代が遠ざかる中、ED76が走り出した7~80年代が歴史の片隅に消えるまで、そう長くはないでしょう。

「次に『1016』を目にする日はいつになるだろうか。もしかするとこれが最後かもしれない、また見られるかもしれない・・・」
様々な思いを胸に秘めながら、私は黒崎駅を後にしました。1016号機はまだ動きだしません。

撮影日:2016年6月26日
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  コメント
ED72、ED73、ED74、EF70が消えてED76の天下だと思っていたら
消滅寸前とは。。。
時代は思っている以上に早く流れているんですね。
こーたろー #- [ 編集 ]    2016年06月27日(月) 16:29
こーたろーさん
> ED72、ED73、ED74、EF70が消えてED76の天下だと思っていたら
> 消滅寸前とは。。。

2011年頃にEH500が入ってきてからが早かったです。あれからED76を見る機会が激減しました。


> 時代は思っている以上に早く流れているんですね。

私も20を過ぎてから、それを感じるようになりました。とうとう中学時代の記憶も曖昧になってきましたよ(笑)
wra #9MBBB9Tg [ 編集 ]    2016年06月27日(月) 22:22
おはようございます
俺が小~中学生の頃は、ED76も新米の部類だったんだなあ、と感じます。


機関車ってえと、やはり働く男、ってイメージですね。貨物にしろ客車にしろ。


彼らが牽引してきたのは、車両だけでなく時代もだったのかな、と。良い写真が撮れましたね。
焼きそば #t50BOgd. [ 編集 ]    2016年06月29日(水) 10:04
焼きそばさん
私が古いものに憧れを抱くのは、自分が知らない時期に対して「知りたい心」があるからだと確信しています。

かの機関車が牽引してきた時代は、いずれ過去のものになるでしょうし、今を記録に残すのは勿論のこと、昔の資料を漁るなりして過去を叙述してみるのも面白そうです。そうすれば自ずと、「知りたい心」は満たされていくんでしょうかね~・・・
wra #9MBBB9Tg [ 編集 ]    2016年07月05日(火) 00:12
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