(目次)
C57-1牽引「SLやまぐち号」 12系客車最後の夏にゆく (1)
C57-1牽引「SLやまぐち号」 12系客車最後の夏にゆく (2)



津和野行きの快速「SLやまぐち号」は定刻通り、新山口駅を出発しました。今回乗車した2号車はいわゆる「欧風客車」で、車内にはヨーロピアンな装飾が施され、座席もソファシートになっています。

原色の12系が留置されている山口地域鉄道部を横目に進む中、懐メロとともに車内放送が始まりました。客車の代名詞「ハイケンスのセレナーデ」を生で耳にするのは、寝台特急「はやぶさ」に乗車した2009年以来、およそ8年ぶりのことです。しかも電子タイプではなくオルゴールタイプなのが良い。

新山口から宮野駅付近までの区間は平地を走行していきます。俊足のC57とはいえ、意外にもゆっくりとした速度で走るのには驚きました。そもそも機関車は80年選手ですし、定期列車を縫うように走るのですから、速く走るわけにもいかないのでしょう。

沿線では通行人も足を止め、機関車や乗客に手を振っている様子から、この「SLやまぐち号」が人々からいかに愛されているか、改めて知ることができました。

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列車は宮野駅から山越え区間に入り、ゆっくりと急こう配を上っていきます。沿線ではカメラの砲列が敷かれ、機関車の姿を収めようと多くの撮影者が待ち構えています。やがて最初の長時間停車駅・仁保に到着しました。

仁保では数分停車するため、この時間を利用して多くの乗客が車外に出て記念撮影に興じます。出発時間が近づくと車掌が笛で何度も合図を送り、乗客が置いてきぼりを食らわないように配慮されています。

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仁保を出た列車は急坂とトンネルを抜け、長門峡に出てきました。ここから県境の区間までトンネルはありません。車内のそこかしこで窓が開け放たれ、渓谷の涼しい風が入ってきました。並走する国道9号線の自動車をごぼう抜きして、旅客用の花形機関車C57の本領が発揮されます。

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二度目の長時間停車駅は地福。ここでは十分以上もの停車時間が確保されています。丁度お昼時ということで、弁当を広げる乗客の姿が目立ちます。

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▲地福駅に停車

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列車は順調に島根県との県境を目指し進んでいきます。やがて徳佐駅が近づくと、りんご農園が目につくようになります。ここ旧阿東町一帯は、山口県屈指のリンゴ産地として知られています。秋になると、りんご狩りでにぎわいを見せるのでしょう。

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▲欧風客車のオシャレな室内灯

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徳佐駅を出発した列車は再び山越え区間へと入っていきます。山口線は数年前に豪雨災害で長期運休を余儀なくされましたが、沿線では依然として復旧作業が行われています。災害からの完全復興にはまだまだ時間がかかりそうです。

船平山を通過した列車はついに長いトンネルへと入り、ここから島根県に突入します。県境を越えると終点の津和野は間近です。

さらっと「県境を越えた」と書きましたが、実をいうと、始発駅の新山口駅から終点間近の船平山駅まで、ずっと山口市の中を通ってきました。平成の大合併前は山口と津和野の間に阿東町が挟まっていましたが、この阿東町が山口市に吸収されたことで、山口線の沿線自治体は山口市・津和野町・益田市の2市1町だけとなっています。ここ十数年で広大な自治体が増えました。

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トンネルを出た列車は狭い渓谷を縫うように走り、津和野市街地を目指していきます。水害からの復旧直後に比べると、この辺りはずいぶんと様変わりしました。削れた河岸は整備されて親水公園になり、SLの撮影スポットになっています。

線路の両脇を抱え込んでいた山々が開けてくると、石州瓦の美しい津和野の街並みが見えてきました。眼下に津和野市街地が見えると、カメラのシャッター音が次々に聞こえてきます。最後の車内放送が終わると、列車は広々とした津和野駅に到着しました。

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終点の津和野に停車した列車は、側線へと引き上げていきます。それまでの間、乗客は機関車や客車の横で記念撮影して、最後の最後まで列車の旅を楽しんでいるようでした。一方、レイルファンは消えゆく12系の姿を惜しみなくカメラに収めていきます。私も少しだけ、その中に加わることにしました。

やがて客車が側線に落ち着くと、機関車は燃料・水補給のため転車台へと移動していきます。

(完)
撮影日:2017年8月5日
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  コメント
山口にようこそ
おいでませ!山口に。県庁のすぐ傍をSLが走るのも貴重ですね。
くんざん #- [ 編集 ]    2017年08月11日(金) 20:57
こんばんは。

SL山口号、私の小学生時代に運行開始したような
記憶があります。
長く続いていますね〜

今考えると、国鉄から蒸機が皆無になった時期は
ごく短期間だったんですね。
ふぐにさん。 #36k9amUg [ 編集 ]    2017年08月12日(土) 23:06
凄い!
いやあ、もう羨ましい、の一言ですよ。


俺みたいな、浅い知識しか無くても、貴婦人は知ってますし。


その貴婦人にふさわしい客車、と言ったところでしょうか。


真岡で乗った客車、大衆車的雰囲気だったもんなあ。
焼きそば #t50BOgd. [ 編集 ]    2017年08月14日(月) 22:14
焼きそばさん
> いやあ、もう羨ましい、の一言ですよ。

私も長年乗りたいと思っていただけに、感慨深い中の乗車となりました。やっぱりSL列車は普通の電車と違って旅情がぐんと強いですよね~


> 俺みたいな、浅い知識しか無くても、貴婦人は知ってますし。
> その貴婦人にふさわしい客車、と言ったところでしょうか。

まさにそうです。昔の急行列車を思わせる乗り心地で良かったですよ。


> 真岡で乗った客車、大衆車的雰囲気だったもんなあ。

あちらは近郊型をあまり改造せずに使用しているんですよ。通勤列車のような雰囲気があって、やまぐち号の客車とは趣が異なりますよね。同じ客車に昔、筑豊本線で乗車した思い出があります。
wra #9MBBB9Tg [ 編集 ]    2017年08月17日(木) 00:46
ふぐにさん。さん
ふぐにさん。様、こんばんは。

> SL山口号、私の小学生時代に運行開始したような
> 記憶があります。
> 長く続いていますね〜

そういえば、いつの間にか歴史ある列車になりましたね。近年まで味気ない115系ばかりだった広島支社の中でも、ひときわ異彩を放つ名物列車として定着していると思います。


> 今考えると、国鉄から蒸機が皆無になった時期は
> ごく短期間だったんですね。

それだけSLに対する人々の愛着というのも大きかったんでしょうね。
wra #9MBBB9Tg [ 編集 ]    2017年08月17日(木) 01:07
くんざんさん
> おいでませ!山口に。県庁のすぐ傍をSLが走るのも貴重ですね。

ありがとうございます。それにしても、沿線でたくさんの人々が手を振っている様子には驚きました。乗るだけでなく見送るだけでも楽しい列車なんでしょうね。
wra #9MBBB9Tg [ 編集 ]    2017年08月17日(木) 01:08
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