台湾の「国宝級」車両が大集合!苗栗鉄道文物館をぶらり散策
台湾で一番大きな鉄道博物館といえば、何といっても今回お届けする「苗栗鉄道文物館」でしょう。台湾北西部、苗栗県苗栗市の苗栗駅横にあります。

入口正門は一応あるのですが、施錠されているのでそこから入ることはできません。駅西口の片隅にある路地から、線路に沿って南側に進むと敷地内に入ることができます。
常時開放されており、入場料は無料です。

▲台湾総督府鉄道500形501号機(CT152)
CT152は国鉄8620形と同型です。1919(大正9)年に汽車製造で製造されました。

なお、残存する500形(CT150)はこの1両のみです。これは館内に展示されている車両全てにいえることですが、保存状態は非常に良好です。

▲500形501号機(CT152)のキャブ付近といかついモニュメント

▲500形501号機(CT152)説明板
説明版にも目を通しておきましょう。年号は和号と民国年号が併記されています。拙ブログでは製造年代を1919年(wikipediaによる)としていますが、こちらには1918年と記されています。

▲台湾総督府鉄道600形600号機(DT561)
DT561は国鉄9600形とほぼ同仕様ですが、米アルコ製ということもあり、きわめてアメリカンな形状をしています。
この600形が製造されたのち、国産された分も入線しましたが、こちらは800形として区別されており、外観はまんま9600です。戦後もそれぞれ、DT560形、DT580形として区別され続けました。

▲600形600号機(DT561)側面部

▲600形600号機(DT561)テンダー
9600であって、9600でない・・・九州人の僕はこれまで9600の保存機をたくさん見てきましたが、それだけあって非常に奇妙な感覚を覚えました。

▲R0型6号機
皆様お待ちかねの、初代DF91形・・・の同型機です。初代「DF91-1」という番号は、1号機が台湾搬出に先立って、一時的に国鉄で使用された際に名乗っていた番号です。
日立製作所で製造された電気式DLで、台鉄ではR0形を名乗りました。現在では6号機のみ保存されています。

このカマがDF91を名乗ったことはありませんが、初代DF91の系譜を組んでいることに変わりありません。今回一番見たかった車両でした。

▲栄光のHITACHI

R6の背後にあるのは、入換用として製造されたS400形405号機です。米EMDで1969年に製造され、S300形と非常に似た外観・性能を有しています。電気式の入換用DLには古い順に、S200、300、400形の3形式があります。
S400形は長らく入換用・支線の貨物列車牽引機として使用されてきましたが、最高速度の遅さとDHL100形導入により、2010年に引退しました。現存するのはこの405号機と、台北工場に放置されている402号機のみです。同型車のS300形も廃車が進行しており、318号機が彰化で使用されている以外、すべて廃車になっています。
一方で、S200形は1960年代前半に製造された古い車両でありながら、最高速度が高めに設定されているせいか、未だ5両も在籍しているのは何とも皮肉なことです。

▲S400形405号機の運転台側を眺めて
S405をさらに観察してみました。運転台のある側は平面になっています。入換用ということで、運転台が一方に偏っているのが特徴です。

▲台糖254号

▲台糖254号の側面

写真上、左側の機関車は台糖331号機関車です。
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まだ朝ということもあり、展示場内に朝の強い陽ざしが差し込んでいました。

こちらは阿里山森林鉄道の28号蒸気機関車です。所謂「シェイ式」の構造を持つギアードロコとして知られています。

▲阿里山森林鉄道25トン級ディーゼル機関車11403-1号機
1953年に三菱で製造された車両です。

▲阿里山森林鉄道25トン級ディーゼル機関車11403-5号機

▲阿里山森林鉄道SPC2号客車
特別客車として製造されました。

展示場の一角には台車の一部部品が並べられています。

パンタグラフということは、E100形電気機関車の部品でしょうか?

やがて、苗栗駅をTEMU1000形「タロコ」が高速で通過していきました。

台車が展示されていますが、一体どの車両が履いていた物でしょうか?
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続いて、楽しみにしていた木造客車のコーナーを見ていきましょう。内地(日本)では鋼体化が戦後間もない時期から始まったので、木造客車の中でも終末期の世代にあたるナハ22000系客車ですら、保存車両が存在しません。今では60系客車の台枠として残るのみです。
ところが、台湾では木造客車の鋼体化が進まず、しかも置き換え時期も遅かったので、比較的後年まで木造客車が元気に走っていました。しかも面白いことに、日本統治時代末期には鋼製客車が導入されていたのに、戦後「中華民国管理下」に入ると、再度木造客車が製造されるようになったのです。
台湾で最も有名な鉄道評論家のお一人、洪致文氏のブログ『飛行機の測候所』の「成功號‧銘傳號的座椅半世紀後意外出土!」によると、1949(昭和24)年から台北~高雄駅間に特快列車が運行されるようになり、50年から高雄行きの列車に「成功号」、台北行きの列車に「銘伝号」という愛称名を付けたとあります。この特快列車として使用するため、1949年に製造された客車が木造でした。展望室は満鉄のテンイ8形に似ており、洪氏は客車の風格を「大陸派」と評しています。
この「大陸派」な木造客車は10年経たないうちに姿を消したようで、形式もよくわかりません。木造なので、おそらく4桁の番号が振られていたでしょう。
苗栗に保存されている木造客車に話を戻します。ここには2両の木造客車が保存展示されており、一方はオープンデッキのTPK2000形2053号、もう一方はナハ22000系によく似たSPK2500形2502号です。

▲左はSPK2502、右はTPK2053
TPK2053は1921(大正10)年に製造された「台鉄客車」の貴重な生き残りで、件の洪氏はこの客車の出自がホハ2070形かホハフ2070形である可能性を指摘しています。

▲SPK2502の車体
SPK2500形は戦後の1953年、一般的には「TPK2000形木造客車を模して製造された」とされています。おそらく、このSPK2500形を製造するにあたって、日本統治時代末期に製造されたオハ32000系もある程度参考にされたのではないかと思います。
オハ32000系客車に関しては、『時報悅讀網:鐵道博物館--32000 三等車、二等車』をご参照ください。この客車はスハ32系に類似していますが、車体は17メートル級であり、「ミニチュア版スハ32」ともいえます。非常に情報量が少なく、洪氏所有の史料を要約するのが精いっぱいです。

▲台東線で使用された、ナローゲージのLDH100形101号機

▲LPTB1800形1813号(DR2050形と同型)
DR2050形に改造された車両は客車代用として、イベント列車を中心に使用されています。保存車両も非常に多いです。

▲S300形305号機
先に製造されたS200形よりも一足早く、第一線から退いた入換機関車です。
展示車両をじっくり見学したところで、今回の散策は完了です。
撮影日:2015年1月16日

入口正門は一応あるのですが、施錠されているのでそこから入ることはできません。駅西口の片隅にある路地から、線路に沿って南側に進むと敷地内に入ることができます。
常時開放されており、入場料は無料です。

▲台湾総督府鉄道500形501号機(CT152)
CT152は国鉄8620形と同型です。1919(大正9)年に汽車製造で製造されました。

なお、残存する500形(CT150)はこの1両のみです。これは館内に展示されている車両全てにいえることですが、保存状態は非常に良好です。

▲500形501号機(CT152)のキャブ付近といかついモニュメント

▲500形501号機(CT152)説明板
説明版にも目を通しておきましょう。年号は和号と民国年号が併記されています。拙ブログでは製造年代を1919年(wikipediaによる)としていますが、こちらには1918年と記されています。

▲台湾総督府鉄道600形600号機(DT561)
DT561は国鉄9600形とほぼ同仕様ですが、米アルコ製ということもあり、きわめてアメリカンな形状をしています。
この600形が製造されたのち、国産された分も入線しましたが、こちらは800形として区別されており、外観はまんま9600です。戦後もそれぞれ、DT560形、DT580形として区別され続けました。

▲600形600号機(DT561)側面部

▲600形600号機(DT561)テンダー
9600であって、9600でない・・・九州人の僕はこれまで9600の保存機をたくさん見てきましたが、それだけあって非常に奇妙な感覚を覚えました。

▲R0型6号機
皆様お待ちかねの、初代DF91形・・・の同型機です。初代「DF91-1」という番号は、1号機が台湾搬出に先立って、一時的に国鉄で使用された際に名乗っていた番号です。
日立製作所で製造された電気式DLで、台鉄ではR0形を名乗りました。現在では6号機のみ保存されています。

このカマがDF91を名乗ったことはありませんが、初代DF91の系譜を組んでいることに変わりありません。今回一番見たかった車両でした。

▲栄光のHITACHI

R6の背後にあるのは、入換用として製造されたS400形405号機です。米EMDで1969年に製造され、S300形と非常に似た外観・性能を有しています。電気式の入換用DLには古い順に、S200、300、400形の3形式があります。
S400形は長らく入換用・支線の貨物列車牽引機として使用されてきましたが、最高速度の遅さとDHL100形導入により、2010年に引退しました。現存するのはこの405号機と、台北工場に放置されている402号機のみです。同型車のS300形も廃車が進行しており、318号機が彰化で使用されている以外、すべて廃車になっています。
一方で、S200形は1960年代前半に製造された古い車両でありながら、最高速度が高めに設定されているせいか、未だ5両も在籍しているのは何とも皮肉なことです。

▲S400形405号機の運転台側を眺めて
S405をさらに観察してみました。運転台のある側は平面になっています。入換用ということで、運転台が一方に偏っているのが特徴です。

▲台糖254号

▲台糖254号の側面

写真上、左側の機関車は台糖331号機関車です。
.jpg)
まだ朝ということもあり、展示場内に朝の強い陽ざしが差し込んでいました。

こちらは阿里山森林鉄道の28号蒸気機関車です。所謂「シェイ式」の構造を持つギアードロコとして知られています。

▲阿里山森林鉄道25トン級ディーゼル機関車11403-1号機
1953年に三菱で製造された車両です。

▲阿里山森林鉄道25トン級ディーゼル機関車11403-5号機

▲阿里山森林鉄道SPC2号客車
特別客車として製造されました。

展示場の一角には台車の一部部品が並べられています。

パンタグラフということは、E100形電気機関車の部品でしょうか?

やがて、苗栗駅をTEMU1000形「タロコ」が高速で通過していきました。

台車が展示されていますが、一体どの車両が履いていた物でしょうか?
.jpg)
続いて、楽しみにしていた木造客車のコーナーを見ていきましょう。内地(日本)では鋼体化が戦後間もない時期から始まったので、木造客車の中でも終末期の世代にあたるナハ22000系客車ですら、保存車両が存在しません。今では60系客車の台枠として残るのみです。
ところが、台湾では木造客車の鋼体化が進まず、しかも置き換え時期も遅かったので、比較的後年まで木造客車が元気に走っていました。しかも面白いことに、日本統治時代末期には鋼製客車が導入されていたのに、戦後「中華民国管理下」に入ると、再度木造客車が製造されるようになったのです。
台湾で最も有名な鉄道評論家のお一人、洪致文氏のブログ『飛行機の測候所』の「成功號‧銘傳號的座椅半世紀後意外出土!」によると、1949(昭和24)年から台北~高雄駅間に特快列車が運行されるようになり、50年から高雄行きの列車に「成功号」、台北行きの列車に「銘伝号」という愛称名を付けたとあります。この特快列車として使用するため、1949年に製造された客車が木造でした。展望室は満鉄のテンイ8形に似ており、洪氏は客車の風格を「大陸派」と評しています。
この「大陸派」な木造客車は10年経たないうちに姿を消したようで、形式もよくわかりません。木造なので、おそらく4桁の番号が振られていたでしょう。
苗栗に保存されている木造客車に話を戻します。ここには2両の木造客車が保存展示されており、一方はオープンデッキのTPK2000形2053号、もう一方はナハ22000系によく似たSPK2500形2502号です。

▲左はSPK2502、右はTPK2053
TPK2053は1921(大正10)年に製造された「台鉄客車」の貴重な生き残りで、件の洪氏はこの客車の出自がホハ2070形かホハフ2070形である可能性を指摘しています。

▲SPK2502の車体
SPK2500形は戦後の1953年、一般的には「TPK2000形木造客車を模して製造された」とされています。おそらく、このSPK2500形を製造するにあたって、日本統治時代末期に製造されたオハ32000系もある程度参考にされたのではないかと思います。
オハ32000系客車に関しては、『時報悅讀網:鐵道博物館--32000 三等車、二等車』をご参照ください。この客車はスハ32系に類似していますが、車体は17メートル級であり、「ミニチュア版スハ32」ともいえます。非常に情報量が少なく、洪氏所有の史料を要約するのが精いっぱいです。

▲台東線で使用された、ナローゲージのLDH100形101号機

▲LPTB1800形1813号(DR2050形と同型)
DR2050形に改造された車両は客車代用として、イベント列車を中心に使用されています。保存車両も非常に多いです。

▲S300形305号機
先に製造されたS200形よりも一足早く、第一線から退いた入換機関車です。
展示車両をじっくり見学したところで、今回の散策は完了です。
撮影日:2015年1月16日
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