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阿里山森林鉄道「嘉義車庫園区」をぶらり散策(嘉義市東区)

台湾屈指の観光路線として名高い阿里山森林鉄道(森林鐵路)の見どころは、何といったって山間部の車窓ではないでしょうか。とはいえ、私はまだ乗車したことはありません。多くの方からその美しい車窓の話を聞くたびに、いつか乗車したいと思うものです。

阿里山森林鉄道の魅力はなにも、車窓だけではありません。沿線には同鉄道ゆかりの施設が数多くあります。今回ご紹介する嘉義車庫園区もその一つで、これは嘉義車庫の敷地を無料で一般開放しているものです。

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入口は県道159号沿いにあり、台鉄嘉義駅から1キロ少々離れた場所にあります。近くには木造駅舎が残る北門駅や、木材加工場の宿舎を活用した施設「桧意森活村」もあり、一帯は嘉義屈指の観光スポットになっています。

入口に入ると線路を越え、車両が展示されているスペースへと移動していきます。ここは現役の車庫ですから、時おり列車が通ります。ゆえに線路を越えるときは列車が来ていないか十分注意しましょう。工場係員が待機しているとはいえ、自身の安全をよく考えながら行動してください。

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▲阿里山森林鉄道DPC型7編成

自慢の高出力エンジンを活かして、険しい山岳地帯を駆け回った気動車・PDC型7編成が美しい状態で展示されています。1970年に日本車両で製造され、台鉄台東線の気動車と並んで、高出力のナロー気動車の代表例として歴史に名を残す存在です。

この他にも、もう1編成がボロボロの状態で嘉義に留置されているのを確認しました。阿里山森林鉄道の古い車両は何といっても、保存車両が多いのが特徴です。

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種別名が転じて、「中興号」という愛称名で呼ばれています。この名称は「自強号」「復興号」等と同様に、「中国国民党」の党国体制に基づくスローガンに由来するものです。ここでは極力「中興号」の名称を使わず、PDC型と称するようにします。

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▲DPC型説明板

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▲ナローゲージながらも立派なエンジンを搭載するDPC型

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▲DPC型運転台

台鉄の気動車と異なり、マスコン・ブレーキの位置は日本式です。

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▲阿里山森林鉄道DPC型車内

座席は転換クロスシートで、モケットの色は深緑です。

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DPC型一番の特徴といえば、前面の大きなラジエターではないでしょうか。

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▲DPC型の朝顔連結器・排障器

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前面にはラジエター、側面にはバス窓、足元には高出力エンジン・・・PDC型はナローゲージの車両にしては、非常にグレードが高いです。

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▲DPC型8

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園内にはトイレが数か所設けられているのですが、なんと廃車体が活用されています。写真上はSP6302号を転用したトイレを写したものです。

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トイレながらも、ちゃんと説明番が設置されています。1974年製造、96年廃車になった台湾製の車両です。

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園内をさらに進むと、ターンテーブルが見えてきました。1978年から89年まで使用され、主にDPC型気動車の方向転換に用いられました。

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▲嘉義車庫留置線を見渡して

客車が大量に留置されています。一番右側に見えるDLは、ドイツ製の優雅な車体を持つDL35型36号機です。

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時計を見ると、ちょうど奮起湖行き「阿里山号」1次の通過時間が近づいてきたので、本線がよく見える位置にやってきました。ここで同列車を動画撮影します。





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黒い小型DLと客車が据え置かれています。

DLの方は日本統治時代に加藤鉄工所で製造されたものです。客車の方は材木運搬用の貨車を改造したもので、大井川鉄道にも似たような客車があったような気がします。

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こちらのSP6211号客車も先ほどのSP6302と同じく、トイレに転用されました。

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▲ドイツ製のDL35型37号機

DL35型はドイツのO&K社で3両製造され、1976年から89年まで使用されました。短命に終わった機関車ですが、3両とも嘉義で保存されているようです。

シェイ式蒸気機関車13号
▲「シェイ式」13号機関車

12号機から18号機までは重量18トンのため「18トンシェイ」、21号機から32号機までは重量28トンのため「28トンシェイ」と呼ばれています。拙ブログでは便宜的に前者を12型、後者を21型と呼ばせていただきます。

シェイ式蒸気機関車23号
▲「シェイ式」21型23号機関車

阿里山森林鉄道の古典客車

23号機関車の後ろには木造客車4両と、黒いDLが1両連結されています。

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木造客車は2両が赤色に、もう2両が黒色に塗装されています。状態は木造客車にしては良い方だと思いますが、屋外保存ということで、所々に痛みが目立っています。

阿里山森林鉄道DL2
▲DL1型2号機

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帰り際に線路を越えようとしたところ、係員が何らかの誘導をしていたので周囲を見渡したところ、ちょうどDLが構内を移動中でした。車両は台湾製のDL47型48号機です。

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▲嘉義車庫構内を移動するDL48

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車庫付近に目をやると、「シェイ式」機関車が2両繋がっていました。番号はいずれも21型の25号・26号です。

阿里山森林鐵路の車庫内部
▲車庫内に集うDL

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入口付近では、阿里山森林鉄道開業100周年記念HMが展示されています。HMを挟んで記念撮影なんて如何でしょうか?


▲今回収録した動画です。
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撮影日:2015年1月18日
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