台湾の古都で史跡めぐり!台南市中心部をぶらり散策
今回お送りする台湾南部・台南市は、オランダ統治時代より栄え、鄭氏統治時代(以降「鄭氏時代」)以降も政治の中枢が置かれ続けました。
以降、台南は台湾の中心地・港町として発展を遂げましたが、やがて地形の変化に伴い大型船の着岸が難しくなり、加えて清末・光諸年間に政治の中心地が台北(たいほくじょう)に移されたため、台湾の中心地は南部から北部へと変化しました。
日本統治時代には台南州(1945年10月当時)の州庁所在地となり、高雄とともに台湾南部を代表する都市として、引き続き開発され続け、現在に至ります。古廟や鄭氏時代の遺構が数多く残ることから、「台湾の京都」として地元住民・旅行者から親しまれています。
さて、今回は1月に台南を訪れましたので、自転車を使って台南市中心部をめぐってみましょう。それではご覧ください。

台南駅前で自転車を借りた私はまず初めに、いったん台南駅東口の方へと回り込んで、少し南下して「旧台南州知事官邸」を目指しました。ここは以前、台南在住の台湾人ブロガーYellow氏が記事「台南知事官邸」で取り扱われた場所で、台南に来たら必ず訪れておきたいと思っていました。
旧台南州知事官邸には自転車置き場が設置されており、サイクリングがてらに訪れることができます。近年では、台湾でも歩道や自転車置き場が新設されるなど、歩行者・自転車ユーザーにやさしい取り組みがようやく進められています。
この建物は明治年間(台湾史における明治年号は28年から)に完成したもので、日本統治時代初期に建築された数少ない建築物の一つです。和洋折衷の様式となっており、欧風文化の吸収を志向した当時の人々の精神を感じ取ることができるのではないでしょうか。台南州知事官邸として用いられたほか、総督官邸・皇族宿泊所としても使用されており、ときの皇太子・裕仁親王(のちの昭和天皇)もここに滞在されました。

▲街角の牌坊
台南は観光客をもてなすため、市街地の至る所で整備が進められています。たとえば、道路のアスファルト舗装をブロック敷きに変えるなど、街の景観美化が行われたり、先述のように歩道・自転車レーンが新設されるなど、自動車・オートバイ以外の交通を考えた開発が行われています。
それでも車の歩道への乗り付けやオートバイの量は相変わらずですが、この点については一部市民のマナー良化を待つほかないでしょう。

続いて台湾最古の「孔子廟」へとやってきました。実はここへ至る間に、台南市忠烈祠(旧台南神社の狛犬移設先)・延平郡王祠(旧開山神社)に立ち寄っていますが、写真・文量が長くなる可能性があるので、別個記事で取り扱います。
台南の孔子廟は同市を代表する観光地の一つで、敷地内に入ると多くの観光客でごった返していました。この中にはおそらく、悪評高い中国人ツアー客もいたかもしれません。

それはともかく、廟周辺は非常に美しく整備されており、緑がたくさんあります。入場料を払えば廟中心部に入ることができますが、今回は時間の関係上、外観を少し見るだけで後にしました。

続いて湯徳章記念公園の近くへとやってきました。ここには日本統治時代の建築が密集しており、日本統治時代における台南の中枢部をなしていました。同公園はロータリー内部にあり、二二八事件で犠牲となった湯徳章を顕彰して命名されています。
同氏は内地人の父と台湾人の母との間に生まれ、長年警官を務めていました。辞職後は中央大学で司法を学び、のちに弁護士となっています。二二八事件では中国人によって野蛮な方法で拷問されたのち、まさにこの場所で公開処刑されました。

ロータリー内にはかつて孫文像があり、公園名と相反する存在でありましたが、近年になり台湾独立派によって引き倒されました。ちなみにですが、台南市の頼清徳市長は市内学校に残る蒋介石像をすべて撤去する方針を示しています。(『中央社フォーカス台湾』記事による)
湯徳章記念公園の周辺を見渡すと、旧「合同庁舎」「測候所」「台南州庁」「嘉南大圳組合事務所」や「台南市警察署」等、形も色も様々な、日本統治時代の建築物がそびえたっています。また、近くには林百貨店や鴬料理もあるので、これらと併せてゆっくり観光してみると楽しいかもしれませんよ。

▲旧「合同庁舎」(現在は台南市消防局)

▲旧「台南州庁」(現在は国立台湾文学館)

▲旧「台南警察署」(現在は台南市警察局)

▲旧「嘉南大圳組合事務所」(現在は嘉南農田水利会)

▲旧「測候所」
「林百貨店」と「鴬料理」にも一応立ち寄ってきましたが、記事の分量を考えて今回は割愛し、また別個に記事を書かせていただきます。

ロータリーを経て「林百貨店」に至る途中、旧「日本勧業銀行台南支店」(現在は台湾土地銀行台南分行)の建物に突き当たりました。こちらも台南ではよく知られた日本統治時代の建築です。真っ白な外観もさることながら、ギリシアの神殿を思わせる優美な柱もまた、建物が持つ美しさの要素の一つとなっています。

最後にご紹介するのは、台南市街地から大きく離れた場所にある台鉄保安(旧:車路墘)駅です。高雄へと移動する途中に立ち寄りました。
高雄方面行きの電車よりも一足先に沙崙(高鉄台南)行きが出発するということで、どうせ沙崙行きが先に出るんだったら、どちらの列車も停車する保安に途中下車して、木造駅舎を見てみようと思い立ち寄りました。ところが沙崙行きを見送ってからすぐに高雄方面行きが到着しましたから、殆ど写真を撮っていません。
外観を写したものは上の一枚だけです。
撮影日:2015年1月18日
以降、台南は台湾の中心地・港町として発展を遂げましたが、やがて地形の変化に伴い大型船の着岸が難しくなり、加えて清末・光諸年間に政治の中心地が台北(たいほくじょう)に移されたため、台湾の中心地は南部から北部へと変化しました。
日本統治時代には台南州(1945年10月当時)の州庁所在地となり、高雄とともに台湾南部を代表する都市として、引き続き開発され続け、現在に至ります。古廟や鄭氏時代の遺構が数多く残ることから、「台湾の京都」として地元住民・旅行者から親しまれています。
さて、今回は1月に台南を訪れましたので、自転車を使って台南市中心部をめぐってみましょう。それではご覧ください。

台南駅前で自転車を借りた私はまず初めに、いったん台南駅東口の方へと回り込んで、少し南下して「旧台南州知事官邸」を目指しました。ここは以前、台南在住の台湾人ブロガーYellow氏が記事「台南知事官邸」で取り扱われた場所で、台南に来たら必ず訪れておきたいと思っていました。
旧台南州知事官邸には自転車置き場が設置されており、サイクリングがてらに訪れることができます。近年では、台湾でも歩道や自転車置き場が新設されるなど、歩行者・自転車ユーザーにやさしい取り組みがようやく進められています。
この建物は明治年間(台湾史における明治年号は28年から)に完成したもので、日本統治時代初期に建築された数少ない建築物の一つです。和洋折衷の様式となっており、欧風文化の吸収を志向した当時の人々の精神を感じ取ることができるのではないでしょうか。台南州知事官邸として用いられたほか、総督官邸・皇族宿泊所としても使用されており、ときの皇太子・裕仁親王(のちの昭和天皇)もここに滞在されました。

▲街角の牌坊
台南は観光客をもてなすため、市街地の至る所で整備が進められています。たとえば、道路のアスファルト舗装をブロック敷きに変えるなど、街の景観美化が行われたり、先述のように歩道・自転車レーンが新設されるなど、自動車・オートバイ以外の交通を考えた開発が行われています。
それでも車の歩道への乗り付けやオートバイの量は相変わらずですが、この点については一部市民のマナー良化を待つほかないでしょう。

続いて台湾最古の「孔子廟」へとやってきました。実はここへ至る間に、台南市忠烈祠(旧台南神社の狛犬移設先)・延平郡王祠(旧開山神社)に立ち寄っていますが、写真・文量が長くなる可能性があるので、別個記事で取り扱います。
台南の孔子廟は同市を代表する観光地の一つで、敷地内に入ると多くの観光客でごった返していました。この中にはおそらく、悪評高い中国人ツアー客もいたかもしれません。

それはともかく、廟周辺は非常に美しく整備されており、緑がたくさんあります。入場料を払えば廟中心部に入ることができますが、今回は時間の関係上、外観を少し見るだけで後にしました。

続いて湯徳章記念公園の近くへとやってきました。ここには日本統治時代の建築が密集しており、日本統治時代における台南の中枢部をなしていました。同公園はロータリー内部にあり、二二八事件で犠牲となった湯徳章を顕彰して命名されています。
同氏は内地人の父と台湾人の母との間に生まれ、長年警官を務めていました。辞職後は中央大学で司法を学び、のちに弁護士となっています。二二八事件では中国人によって野蛮な方法で拷問されたのち、まさにこの場所で公開処刑されました。

ロータリー内にはかつて孫文像があり、公園名と相反する存在でありましたが、近年になり台湾独立派によって引き倒されました。ちなみにですが、台南市の頼清徳市長は市内学校に残る蒋介石像をすべて撤去する方針を示しています。(『中央社フォーカス台湾』記事による)
湯徳章記念公園の周辺を見渡すと、旧「合同庁舎」「測候所」「台南州庁」「嘉南大圳組合事務所」や「台南市警察署」等、形も色も様々な、日本統治時代の建築物がそびえたっています。また、近くには林百貨店や鴬料理もあるので、これらと併せてゆっくり観光してみると楽しいかもしれませんよ。

▲旧「合同庁舎」(現在は台南市消防局)

▲旧「台南州庁」(現在は国立台湾文学館)

▲旧「台南警察署」(現在は台南市警察局)

▲旧「嘉南大圳組合事務所」(現在は嘉南農田水利会)

▲旧「測候所」
「林百貨店」と「鴬料理」にも一応立ち寄ってきましたが、記事の分量を考えて今回は割愛し、また別個に記事を書かせていただきます。

ロータリーを経て「林百貨店」に至る途中、旧「日本勧業銀行台南支店」(現在は台湾土地銀行台南分行)の建物に突き当たりました。こちらも台南ではよく知られた日本統治時代の建築です。真っ白な外観もさることながら、ギリシアの神殿を思わせる優美な柱もまた、建物が持つ美しさの要素の一つとなっています。

最後にご紹介するのは、台南市街地から大きく離れた場所にある台鉄保安(旧:車路墘)駅です。高雄へと移動する途中に立ち寄りました。
高雄方面行きの電車よりも一足先に沙崙(高鉄台南)行きが出発するということで、どうせ沙崙行きが先に出るんだったら、どちらの列車も停車する保安に途中下車して、木造駅舎を見てみようと思い立ち寄りました。ところが沙崙行きを見送ってからすぐに高雄方面行きが到着しましたから、殆ど写真を撮っていません。
外観を写したものは上の一枚だけです。
撮影日:2015年1月18日
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