岐路に立つ鉄道員宿舎「台鐵宿舎村」(彰化県彰化市)―荒地に眠る日本家屋
彰化は日本統治時代より、台中・大甲両方向からの鉄道が合流する交通の要所として栄え、彰化駅横には大型の機関区が設置されました。この機関区は所謂「扇形庫」で、日本でも会津若松や豊後森等で見ることができます。
彰化扇形庫は現役の車庫として使用されており、通常一般開放されていますが、同車庫に関する詳細な記述はまた別の機会に行わせていただきます。
「台鐵宿舎村」は彰化扇形庫から道路を挟んですぐ北側にあり、彰化駅から歩いて10分ほどの場所に位置しています。地内には日本統治時代に建設された木造家屋が数十棟残されていますが、いずれも状態は良好とはいえず、中には雑草に埋もれた物件もあります。
近年、「台鐵村」周辺を区画整理する計画が行われ、これに伴い半数以上の木造家屋が解体されることになりました。「彰化の都市遺産が消える」として、市民の中からこの決定に反発する声が上がり、「台鐵宿舎村」解体阻止の運動が広がっていきました。

▲彰化市の「台鐵宿舎村」
先ほど家屋解体数を「半数以上」としましたが、これはすべての家屋が解体されるわけでなく、一部が保存されるためです。それでも市民の反発は激しく、全棟保存を求める声が挙がっていました。
事の成り行きに関しては、市民グループがフェイスブックにページを設けていますので、ぜひご参照ください。
https://www.facebook.com/chabghuarailwayquarters
2015年1月、私は「台鐵宿舎村」の現状を確認するため彰化を訪れました。扇形車庫を見学後、そのまま近隣にある「台鐵宿舎村」へと移動します。

「台鐵宿舎村」は一部箇所にバリケードが設置され、入れないようになっています。ただし一か所だけ立ち入り可能になっており、そこから木造家屋の現状を確認することができました。ここには木造家屋だけでなく、鉄筋家屋や鉄道員の生活に欠かせない諸施設-クリーニング店、区長(段長)宿舎等―があります。

▲荒廃が進んでいた「台鐵宿舎村」

▲バリケードと木造家屋と樹木と

▲「台鐵宿舎村」全棟保存を訴えるポスター

▲「台鐵宿舎村」木造宿舎を描いたテープアート

立ち入り可能な場所を一通り調査した後は、道をふさぐバリケードに描かれた「テープアート」に目を通しました。
宿舎の姿や「さようなら宿舎」と描かれたものがあり、「台鐵宿舎村」保存運動がいかに盛大に行われたか、現地を訪れてじかに感じることができました。
撮影日:2015年1月16日
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