龍頭山神社跡(釜山広域市中区)―昔は鎮守、今はランドマーク
龍頭山神社のなりたち
一般的に朝鮮における神社というのは、1910年の併合以降(特に1930年代以降)に建立されたものが専らです。しかし、龍頭山神社は日本統治以前から存在する由緒ある存在でした。ここからは同神社の歴史について、渡辺巳之次郎『老大国の山河 : 余と朝鮮及支那』(金尾文淵堂、1921年)を引用しつつご紹介します。
龍頭山は別名を弁天山といい、山頂には龍頭山神社が、南麓には龍尾山神社がありました。ただし、龍尾山神社はのちに龍頭山神社の隣に移転されています。
天照大神、大物主命、表筒男命、中筒男命、底筒男命、素戔嗚命、応神天皇、神功皇后の計8柱を本殿に、相殿には豊臣秀吉、菅原道真、宗義智を祀っていました。また、境内末社として稲荷神社(祭神は倉稲魂神、猿田彦神、大宮女神)が、境外末社として宮島神社(祭神は市杵島妃神)も建立されていました。
明治36(1903)年、宗重望撰の碑文が頂上に建立され、以下のように記されていました(引用にあたり、現代仮名遣い・新字体に改めたほか、括弧書きで適宜補足を入れて読みやすくした)。
武内宿禰、加藤清正、朝日奈三郎義秀を合祀す。
とあり、江戸期初頭にはすでに存在していたことが説明されています。
釜山観光協会編『釜山案内』(釜山観光協会、1939年)によると、龍頭山神社は創建当初、金刀比羅神社と呼ばれていたのが、明治27(1894)年になって居留地神社に改称され、同32(1899)年に社殿を改修・拡張した際に龍頭山神社へと改称されています。国幣小社に属し、先述の宮島神社が一番最初に建立されたと記されています。
旧龍頭山神社調査録

地下鉄南浦洞駅から路地を北に進むと、神社が建立されていた龍頭山の入口に至ります。長い石段はエスカレータになり、わざわざ汗を流す思いをせずに登山することができます。

エスカレータを2台ほど乗り継いで、龍頭山の上に到着しました。頂上には桜の木が植えられています。
龍頭山は大正5年から公園として整備されましたが、やがて山を覆う松が枯死してしまい、代わりに桜の木を植樹しました(『釜山観光案内』)。

龍頭山の頂上にはかつて、対朝鮮貿易のために設けられた日本人居留地「倭館」が存在しました。公園内には説明碑文があり、日本語の説明もちゃんとあります。ご安心ください、日帝強占云々といった反日丸出しの文言はありません。
江戸期における日朝貿易の主な担い手は、半島に近接する対馬藩宗氏でした。

石段を登ると、いよいよ釜山タワーが見えてきます。
この辺りの通路は神社時代のものに由来するのか、それとも完全に潰して一から作り直しているのか、どちらでしょうか。病的な反日イデオロギーに固執するあまり、旧朝鮮神宮にいたっては境内跡地をえぐり取って地形を改変していますし、後者の可能性が強いです。

李舜臣像のある一帯に到着です。社殿跡(釜山タワー)よりも一段低い位置にあり、こちらには摂末社が建立されていたほか、右奥には南麓から移転された龍尾山神社がありました。

▲李舜臣像と釜山タワー
李舜臣は豊臣秀吉の朝鮮出兵を迎えうった軍人として知られています。
中学校の某歴史教科書には「強大な軍事力で『秀吉』を蹴散らした」と言わんばかりに紹介されている人物ですが、善戦したのは「文禄の役」の最初だけにすぎません。讒言によって死罪寸前に追い込まれたり、敗北を重ねた挙句の果てには、日本側の撤退時に戦闘を仕掛けて敗死したりと、散々な目に遭っています。
これでは、英雄どころではありませんよね。それでも抗日の英雄として、いろいろ歴史を誇張・改変・捏造してまでも賛美したいのは、朝鮮人・韓国政府のプライドというものなんでしょう。

▲釜山タワーの真下から釜山港・影島(旧:牧島)方面を見下ろして
旧龍尾山神社

▲旧龍尾山神社跡地
龍尾山神社は元々、龍尾山の麓に建立されていました。同山は大橋架橋時に削平され、その岩盤上には釜山府庁が新たに建設されました。やがて、龍尾山神社は移転し、龍頭山神社の隣に鎮座しました(釜山観光協会編1939)。
跡地は駐車場として整地されましたが、現在では一帯に朝鮮式土壁と涼亭が築かれ、憩いの場として活用されています。神社の遺構はありません。
総括
旧龍頭山神社全体を調査し、境内がどのように改変されているか見てきました。神社遺構に関しては、全くといって良いほど現存しておらず、現在では40階段文化館にかろうじて手水鉢が1基、展示されているにすぎません(「龍頭山神社 釜山 韓国」『釜山でお昼を』)。
撮影日:2016年4月5日
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