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台北の新旧が混在する「城内」を散策(北門→菊元百貨→南門)

現在、台北駅の西側が大きく姿を変えつつあります。北門の上に長年覆いかぶさっていた陸橋は姿を消し、台北駅と桃園空港を結ぶ鉄道路線も開業しました。

相次ぐ交通事情の変化により、台北駅西側がどのように変わったのか。そして同時に、日本統治時代から商業地域として栄えている博愛路(京町通)を北から南へと辿りながら、古い建築物がどう扱われているのか。今回はこの二つに着目しながら、台北中心部を巡っていきます。



陸橋が撤去されて明るくなった北門


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今回は2017年春に開業した、桃園メトロ空港線の台北駅を起点に巡ります。空港線が開業したことで、台北駅西側は区画整理されました。とくに従来薄暗かった北門付近は、陸橋が撤去されたことで明るくなり、台北郵便局や福建様式の北門を遠望できるようになりました。

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また、荒廃していた旧台湾総督府交通局鉄道部庁舎の修復が完了したことで、北門界隈の景観はより一層美しくなりました。レトロ建築がまた一つ甦ったことで、この一帯が台北屈指の観光地になることを期待しています。

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▲綺麗に区画された台北駅西側

ただし2017年4月現在、旧泉町の日本家屋密集地帯は手つかずの状態となっています。家屋はいずれも荒廃が進み、火災の危険性が高まっていることから、そう遠くない将来に区画整理の手が及ぶものと思われます。

今も昔も賑やか 台北「城内」京町通を南へ


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北門を離れ、続いて博愛路に入っていきます。この通りは台北市の通称「城内」西側を南北に貫き、日本統治時代には京町通りと称されていました。昔から台北の繁華街として賑わうこの通りには、レトロ建築が多数残っています。

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▲高層建築と低層建築が共存する「城内」

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博愛路からわき道にそれ、漢口街に入ってきました。日本統治時代に中通と称された、漢口路を少し進むと見えてきました、明らかに日本統治時代に建てられた商店建築があります。この物件が気になって、わざわざ道草を食いにきたのです。屋根の形状は和風様式ですが、亭仔脚のある一階の造りがいかにも台湾らしいです。

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▲漢口街(中通)に残る日本統治時代の商店建築

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漢口街に残る戦前の商店建築は1軒だけじゃありません。ビルに囲まれた路地奥に目をやると、原形をとどめた二階建ての木造家屋が見えました(写真上)。こちらも間違いなく日本統治時代に建てられたものです。

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再び博愛路(京町通)に戻ってさらに進むと、ついに今回一番の目玉物件が見えてきました(写真上)。一見するとごくありふれた7階建ての雑居ビルに見えますが、その実、日本統治時代の台湾を代表する商業施設の一つ「旧菊元百貨店」なのです。

このデパート建築は昭和7(1932)、当時の栄町3番地18号に産声をあげました。はじめ重田榮治のもとで菊元百貨店として使用され、当時の台湾では二番目に高い建物でした。

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旧菊元百貨店からさらに南下すると、左手に旧台湾総督府(総統府)が見えてきました。この辺りから風景が変わってきます。これまで商業地域だったのが一変して、政府主要機関が密集する地帯に突入します。

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▲検察署ビル

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▲北美事務協調委員会(米台交流協会/米大使館に相当)

米大使館に相当する対米窓口機関の北美事務協調委員会庁舎が見えてくると、間もなく博愛路の南の端です。これで博愛路を北から南に貫いたわけですが、まだまだ調査は続きます。愛国西路に入り、一路「ハゲ寺」こと中正記念堂方面へと進むことに。

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台湾銀行頭取宿舎(大同之家・自由之家)

ちょうど博愛路と愛国西路の交点にあるのが、写真上の「旧台湾銀行頭取宿舎」です。戦後、中華民国総統を務めた厳家淦の邸宅に転用されました。厳家淦邸になった方が「大同之家」と呼ばれる一方で、隣接する「自由之家」と呼ばれる物件は戦後、反共活動の拠点として用いられていました。どちらも台銀頭取の宿舎にルーツがあります。

南門界隈を進んでゴールへ


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▲旧専売局(台湾菸酒股份有限公司)

さらに進んで南門付近にやってきました。こちらには専売局として使われていたレトロ建築が、台湾菸酒股份有限公司の社屋として現存しています。

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南門からさらに進むこと100メートル、ついに今回のゴール中正記念堂前に到着しました。多くの名もなき一般人の拘束・大量虐殺に加担した独裁者蒋介石を顕彰する巨大な白塔は、民主進歩党に政権交代した今も立派に聳えています。

撮影日:2017年4月4日
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