国鉄宮原線 麻生釣駅跡 ―藪に消えた高原の秘境駅(大分県九重町)

大分県玖珠町と熊本県小国町を結んでいた国鉄宮原線は、1984年の廃止からすでに30年以上が経過しています。アーチ橋やトンネルといった構造物が保存・活用される一方で、道路化や風化により消えゆく以降も少なくありません。

今回は九州屈指の秘境駅として知られていた、麻生釣(あそづる)駅の跡地をめぐっていきます。

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麻生釣駅跡は国道387号線沿いにあります。国道から未舗装の山道に入り、坂を少し上ると駅跡に至ります。「山のおみやげ山小屋」の看板と、やけに広い路肩が目印です。

あまりの山道っぷりに驚きました。おまけに、進めば進むほど人気が消えていくのです。麻生釣駅恐るべし!今も宮原線が残っていたら、間違いなく秘境駅に列せられていたに違いありません。

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駅跡が近づくと、再び建物が見えてきました。木造家屋が2棟建っています。しかし家主の姿はなく、2棟ともに荒れかけた廃墟でした。今でこそ無人の地ですが、麻生釣駅があった頃は、この辺りも人気のある場所だったんでしょうね。

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廃墟を過ぎると、やがて右手に階段が見えてきます。この階段を上った先に石積みの駅舎がありました。階段を進んだ先は藪になっていますが、辛うじて立ち入ることができます。

駅舎が建っていたと思しき場所には、仮設のトイレらしき構造物が放置されていました。

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▲右側の藪に覆われた細長い塊が駅ホーム
藪をかき分けながら進むと、やがて林道にぶち当たりました。この林道は宮原線の廃線跡を転用したものです。さらにその奥には、麻生釣駅のホームがひっそりと眠っています。

麻生釣駅は元々、交換可能な島式ホームだったようですが、晩年は棒線ホームになっていました。棒線化に際して駅舎側の線路が撤去され、駅舎とホームの間には空地が生じました。現在の林道はその空地に敷設されており、線路跡はすっかり自然に還ってしまいました。

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廃止から30年以上が経った今、ホーム上には木々が生い茂っています。ホームに上ることすら難しく、ましてやホームから線路跡を眺めることはさらに困難です。

実はこの駅、昭和を代表する映画『男はつらいよ』のロケ地です。寅さんが見た風景も今は昔、牧歌的な高原の駅は30数年で鬱蒼とした藪と化しました。

麻生釣駅の跡地をまじまじと眺めていると、ふと北海道にある幌加駅跡(士幌線)の姿と重なりました。どちらも現役時は開けた場所にありましたが、廃止から30年が経ち、すっかり森の中に埋もれているのです。レールが無いのと放置されている点を除けば、幌加駅跡によく似ています。

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こんな場所をキハ40が走っていただなんて、平成生まれの私にとって夢物語のように思えてなりません。それでも30数年前には、確かに列車の足音が聞こえていたのです。

駅周辺は牧場になっており、一面広々とした草原が広がっています。その中を列車が走っていたわけですから、宮原線はさぞかし多くのレイルファンを惹きつけたことでしょう。

私もぜひ麻生釣駅で下車してみたかったです。

撮影日:2018年1月21日
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Comment

こーたろー

自分もたまたま野営の遠征地で廃線跡があると知ったので数回に分けて辿ったことがあります。
その時のブログがグーグルで今でも検索上位に残っています。

2018年01月26日(金)20:58

wra

こーたろー様

宮原線の存在は小学校時代から知っていますが、一体どこを通っているのかわからない場所も多くありました。改めて航空写真などで跡をたどってみると、結構残っているんだな~と思いました。

一部藪もあるようですが、廃線跡を歩いてめぐる方は結構いらっしゃるんでしょうね。

2018年01月28日(日)00:04