【旅行記】青春18きっぷで行く東北旅2020→2021 3日目(1)―旧原発避難区域を歩く
陽が完全に昇った頃、いわき駅前のホテルをチェックアウトしました。


これから常磐線を北上して仙台に入り、仙山線・奥羽本線を経由して米沢を目指します。2020年の復旧区間を通ることで、はれて常磐線は完乗となる見込みです。

▲いわき駅構内の折り紙アート(赤べこ)
これから乗る区間は本数が少なく、とくに広野~原ノ町の間は気を付けないと「数時間待ち」にぶつかってしまいます。

▲原ノ町行きE531系に乗車!
今回は富岡・浪江での途中下車を予定しています。効率よく下車しようと思ったら、先に浪江で降りて、富岡に戻るべきです。よし、これでいきましょう!

▲嵩上げされた末続駅

▲楢葉町を北上する

▲楢葉町中心部に造成された復興ニュータウン
E531系の原ノ町行きは順調に進み、やがて旧警戒区域に入りました。楢葉町の竜田駅はすでに橋上駅化され、旧駅舎があった場所は更地になっています。
ついで富岡町に入ると、前回よりも人の気配が戻っているような気がしました。帰還困難区域もけして放置状態というわけではなく、場所によっては、除染・建物解体工場が進められています。1年間で一帯の風景は大きく変わりました。

▲竜田駅前にオープンした飲食店

▲夜ノ森駅

▲浪江駅で途中下車
予定通り、浪江駅で列車を降ります。これにて常磐線乗り潰しが終わりました。上りいわき行きが来るまでの40分間、駅周辺を散策することができます。道の駅も気になりましたが、それよりも行くべき場所がありました。駅西側にある国玉神社です。

▲無人化された浪江駅はひっそりとして

▲ミニギャラリー「なみえまるみえ情報館」

▲浪江町マンホール(その1)
僕はこの神社を「線量モニタリング」で知りました。原発事故発生後、高線量帯に含まれてしまい、本格的な復興が始まるまでの数年間、周囲よりも高い線量を表示していました。今でこそ問題ない数値に下がっていますが、そもそもどのような場所なのか、避難指示の解除後も気になっていたのです。

浪江駅を出ると目についたのは、空き地の多さでした。半壊・全壊状態の建物や、帰還を拒み町を去った旧町民の家屋が、一通り解体された結果がこれです。場所によっては家がまばらにしかなく、人口減に悩まされる旧避難区域の現状を見てとれました。

▲雑草抑制調査中(浪江町権現堂地区)

▲所々に人気を感じる浪江町内
しかし、その中にも希望はあります。街中を歩くと、年末の大掃除に追われる住民がいて、意外にも多くの家から生活の気配がしました。事業所も続々と新しい店舗を設け、いくつかの飲食店が営業していました。全体数からすれば少ないかもしれませんが、町に人が戻っています。

▲浪江町マンホール(その2)

▲浪江町マンホール(その3)
浪江の現状を知りながら歩くこと20分、国玉神社に到着です。その境内を見て唖然としました。入口の鳥居は崩れ、社殿はすでに更地と化しています。本殿基礎には、地域の氏子たちが建てたのか、小さな祠が鎮座していました。
場所によって帰還住民の比率が異なるのか、復興の進捗状態に温度差が出始めているようです。国玉神社の今後を心配しつつ、浪江駅に戻ります。
これから富岡町への滞在を考えています。本数が少ない区間ですから、ここで2時間ほど滞在時間が発生しました。これだけ時間に余裕があるなら、ちょっと駅から遠い場所まで行けそうですよ。ならば、夜ノ森駅から富岡駅まで歩いてみようじゃないですか!これなら夜ノ森駅にも立ち寄れますし、一石二鳥というものです。

夜ノ森駅で降りたのは僕一人きりでした。
列車が見えなくなると、辺りには静寂が漂います。気温が低すぎるのか、空気がチクチクと肌を刺してきました。こういうときは立ち止まらず、動くのが一番の凌ぎ方です。

▲新しくなった夜ノ森駅
写真を撮りながら駅構内を散策していると、旧駅舎跡に真新しい建物があることに気づきました。旧駅舎をイメージしたデザインになっていて、中は暖房が効いた待合室になっています。ここで準備を整えてから、ついに富岡駅に向けて歩き出します。

▲帰還困難区域への入口

▲高津戸多目的集会所
まずは高津戸多目的集会所に立ち寄っておきます。こちらも線量モニタリングで見て以来、ずっと気になっていた場所です。営農再開の機運が薄いのか、周囲の水田はソーラー発電に活用されていました。

ここでパトカーが一台、上手岡(常磐富岡IC)方面から近づいて来るではありませんか!職質を覚悟したものの、そのまま走り去っていきました。
以前は一人でいたら高確率で職質に遭っていたそうですが、今じゃ住民もぼちぼち戻っていますし、監視カメラもありますから、パトロール事情が変わったのでしょう。

▲夜の森で
富岡町でも倒壊家屋・空家の解体が軒並み済んだらしく、避難指示が解除された夜の森地区南部は空地だらけでした。この地域は帰還困難区域に隣接しているうえに、町中心部から遠いという立地条件から、帰還が進まなかったのでしょう。
やがて住宅地を抜けて、王塚集落に入りました。この辺りは元々高線量帯で、除染開始まで若干高い数値を示していました。それでも人がちゃんと戻っていて、庭先で草木の手入れをする住民の姿が見えました。
夜ノ森駅から約2キロ進んだところで、雨が降りだしました。
朝から天気が悪いとは思っていましたけど、まさかこんな場所で雨が降りだそうとは!なんとか小雨のうちに富岡駅まで行ってしまおうと考えましたが、雨はだんだん激しくなるばかり。とにかく雨さえ凌げたらと、6号線沿いにある「さくらモール」まで急ぎます。走ったせいで時短にはなりましたが、もうびしょびしょです。

▲年末休止中の「さくらモール」フードコート
ついでに昼を食べておこうと、「さくらモール」内のフードコートに行くも、閉まっていました。ヨークベニマルで弁当を買い、フードコート内のテーブルでいただきます。

▲富岡カレー・・・食えなかったのが残念!

▲富岡町マスコット「とみっぴー」は地味にかわいい
ご当地キャラ(所謂ゆるキャラ®)にはよくあるデザインだが憎めないのだ
服が乾いてきたのを見計らい外に出ると、雨はさらに激しく降っていました。ここから富岡駅までの数百メートル、とにかくダッシュしかありません。
磨きあげられたその足で踏み出せ核弾頭!
駆け抜けろ速く勝利への道を
スピード上げて走り出せトミオカエキ目指して(・◎・)
また服が濡れてしまいました。

▲富岡駅に到着するE531系

それはともかく、列車が来るまで30分も余裕があります。
その間に駅横の売店でご当地食材を物色しました。店内には双葉郡内の土産物が陳列されています。川内村の名産品「凍み餅」に目が行き、さっそく一パック購入。軽いうえにかさ張らないのが、購入の決め手になりました。

▲スッキリした富岡駅裏手

定刻から10分ほど遅れて、原ノ町行きが到着。なんでも地震の影響により、大幅な遅れが発生していたとのこと。水戸発ではないものの、車両運用・接続の都合上、いわき発の列車も影響を受けたのでしょうか。
これから宿泊地の米沢に到達すべく、一路仙台に向かいます。
~つづく~
撮影日:2020年12月30日


これから常磐線を北上して仙台に入り、仙山線・奥羽本線を経由して米沢を目指します。2020年の復旧区間を通ることで、はれて常磐線は完乗となる見込みです。
浪江町の国玉神社を訪れる

▲いわき駅構内の折り紙アート(赤べこ)
これから乗る区間は本数が少なく、とくに広野~原ノ町の間は気を付けないと「数時間待ち」にぶつかってしまいます。

▲原ノ町行きE531系に乗車!
今回は富岡・浪江での途中下車を予定しています。効率よく下車しようと思ったら、先に浪江で降りて、富岡に戻るべきです。よし、これでいきましょう!

▲嵩上げされた末続駅

▲楢葉町を北上する

▲楢葉町中心部に造成された復興ニュータウン
E531系の原ノ町行きは順調に進み、やがて旧警戒区域に入りました。楢葉町の竜田駅はすでに橋上駅化され、旧駅舎があった場所は更地になっています。
ついで富岡町に入ると、前回よりも人の気配が戻っているような気がしました。帰還困難区域もけして放置状態というわけではなく、場所によっては、除染・建物解体工場が進められています。1年間で一帯の風景は大きく変わりました。

▲竜田駅前にオープンした飲食店

▲夜ノ森駅

▲浪江駅で途中下車
予定通り、浪江駅で列車を降ります。これにて常磐線乗り潰しが終わりました。上りいわき行きが来るまでの40分間、駅周辺を散策することができます。道の駅も気になりましたが、それよりも行くべき場所がありました。駅西側にある国玉神社です。

▲無人化された浪江駅はひっそりとして

▲ミニギャラリー「なみえまるみえ情報館」

▲浪江町マンホール(その1)
僕はこの神社を「線量モニタリング」で知りました。原発事故発生後、高線量帯に含まれてしまい、本格的な復興が始まるまでの数年間、周囲よりも高い線量を表示していました。今でこそ問題ない数値に下がっていますが、そもそもどのような場所なのか、避難指示の解除後も気になっていたのです。

浪江駅を出ると目についたのは、空き地の多さでした。半壊・全壊状態の建物や、帰還を拒み町を去った旧町民の家屋が、一通り解体された結果がこれです。場所によっては家がまばらにしかなく、人口減に悩まされる旧避難区域の現状を見てとれました。

▲雑草抑制調査中(浪江町権現堂地区)

▲所々に人気を感じる浪江町内
しかし、その中にも希望はあります。街中を歩くと、年末の大掃除に追われる住民がいて、意外にも多くの家から生活の気配がしました。事業所も続々と新しい店舗を設け、いくつかの飲食店が営業していました。全体数からすれば少ないかもしれませんが、町に人が戻っています。

▲浪江町マンホール(その2)

▲浪江町マンホール(その3)
浪江の現状を知りながら歩くこと20分、国玉神社に到着です。その境内を見て唖然としました。入口の鳥居は崩れ、社殿はすでに更地と化しています。本殿基礎には、地域の氏子たちが建てたのか、小さな祠が鎮座していました。
場所によって帰還住民の比率が異なるのか、復興の進捗状態に温度差が出始めているようです。国玉神社の今後を心配しつつ、浪江駅に戻ります。
間引かれた街「夜の森ニュータウン」
これから富岡町への滞在を考えています。本数が少ない区間ですから、ここで2時間ほど滞在時間が発生しました。これだけ時間に余裕があるなら、ちょっと駅から遠い場所まで行けそうですよ。ならば、夜ノ森駅から富岡駅まで歩いてみようじゃないですか!これなら夜ノ森駅にも立ち寄れますし、一石二鳥というものです。

夜ノ森駅で降りたのは僕一人きりでした。
列車が見えなくなると、辺りには静寂が漂います。気温が低すぎるのか、空気がチクチクと肌を刺してきました。こういうときは立ち止まらず、動くのが一番の凌ぎ方です。

▲新しくなった夜ノ森駅
写真を撮りながら駅構内を散策していると、旧駅舎跡に真新しい建物があることに気づきました。旧駅舎をイメージしたデザインになっていて、中は暖房が効いた待合室になっています。ここで準備を整えてから、ついに富岡駅に向けて歩き出します。

▲帰還困難区域への入口

▲高津戸多目的集会所
まずは高津戸多目的集会所に立ち寄っておきます。こちらも線量モニタリングで見て以来、ずっと気になっていた場所です。営農再開の機運が薄いのか、周囲の水田はソーラー発電に活用されていました。

ここでパトカーが一台、上手岡(常磐富岡IC)方面から近づいて来るではありませんか!職質を覚悟したものの、そのまま走り去っていきました。
以前は一人でいたら高確率で職質に遭っていたそうですが、今じゃ住民もぼちぼち戻っていますし、監視カメラもありますから、パトロール事情が変わったのでしょう。

▲夜の森で
富岡町でも倒壊家屋・空家の解体が軒並み済んだらしく、避難指示が解除された夜の森地区南部は空地だらけでした。この地域は帰還困難区域に隣接しているうえに、町中心部から遠いという立地条件から、帰還が進まなかったのでしょう。
やがて住宅地を抜けて、王塚集落に入りました。この辺りは元々高線量帯で、除染開始まで若干高い数値を示していました。それでも人がちゃんと戻っていて、庭先で草木の手入れをする住民の姿が見えました。
富岡町でズブ濡れになった
夜ノ森駅から約2キロ進んだところで、雨が降りだしました。
朝から天気が悪いとは思っていましたけど、まさかこんな場所で雨が降りだそうとは!なんとか小雨のうちに富岡駅まで行ってしまおうと考えましたが、雨はだんだん激しくなるばかり。とにかく雨さえ凌げたらと、6号線沿いにある「さくらモール」まで急ぎます。走ったせいで時短にはなりましたが、もうびしょびしょです。

▲年末休止中の「さくらモール」フードコート
ついでに昼を食べておこうと、「さくらモール」内のフードコートに行くも、閉まっていました。ヨークベニマルで弁当を買い、フードコート内のテーブルでいただきます。

▲富岡カレー・・・食えなかったのが残念!

▲富岡町マスコット「とみっぴー」は地味にかわいい
ご当地キャラ(所謂ゆるキャラ®)にはよくあるデザインだが憎めないのだ
服が乾いてきたのを見計らい外に出ると、雨はさらに激しく降っていました。ここから富岡駅までの数百メートル、とにかくダッシュしかありません。
磨きあげられたその足で踏み出せ核弾頭!
駆け抜けろ速く勝利への道を
スピード上げて走り出せトミオカエキ目指して(・◎・)
また服が濡れてしまいました。

▲富岡駅に到着するE531系

それはともかく、列車が来るまで30分も余裕があります。
その間に駅横の売店でご当地食材を物色しました。店内には双葉郡内の土産物が陳列されています。川内村の名産品「凍み餅」に目が行き、さっそく一パック購入。軽いうえにかさ張らないのが、購入の決め手になりました。

▲スッキリした富岡駅裏手

定刻から10分ほど遅れて、原ノ町行きが到着。なんでも地震の影響により、大幅な遅れが発生していたとのこと。水戸発ではないものの、車両運用・接続の都合上、いわき発の列車も影響を受けたのでしょうか。
これから宿泊地の米沢に到達すべく、一路仙台に向かいます。
~つづく~
撮影日:2020年12月30日
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