貸し切り状態だけど大丈夫?由利高原鉄道を往復する(羽後本荘⇔矢島)

1985年、羽後本荘と羽後矢島を結ぶ国鉄矢島線が、由利高原鉄道に生まれ変わりました。あれから30年以上がたち、沿線の過疎化に伴い、その利用者は減少していると聞いています。

今回はそんな由利高原鉄道の現状を探るべく、羽後本荘から矢島までの区間を往復しました。道中、どのような光景が待っているでしょうか。そして、利用者はどれほどいるのでしょう。

羽後本荘~矢島

まずは列車に乗るため、JR羽越本線と接続する羽後本荘駅にやってきました。改札口からホームまでの動線はJRと共用しており、改札を通りなおすことなく、乗り換えが可能です。

今回は羽越本線からの乗り換えということで、列車を降りたその足で、由利高原鉄道のホームに向かいます。矢島行きはすでに停車していました。YR-3001の単行列車です。

車内に入ると地元高校生で賑わっていました。この路線は本荘や矢島の高校生にとって、欠かせない存在と聞いています。下校列車は軽快な足取りで、矢島への道を歩みだしました。

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▲羽後本荘駅で出発を待つYR-3001

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▲YR-3001運転台付近

羽後本荘を出発してからしばらくの間、羽越本線と並走を続けます。直線区間をかなりの速度で飛ばし、YR-3001はさっそく、軽快気動車としての本領を発揮することになりました。

羽越本線が離れていくと、いよいよ子吉川に沿って南下を始めます。山の中を走る区間は少なく、ほぼ全体的に谷間の平地が目立ちます。

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▲YR-3001は巨大テーブル付き!観光列車気分で乗車できる

最初のうちは空席が少なく、扉横のロングシートに座っていましたが、しばらく経つとボックスにも空席ができました。YR-3001のボックス区画には大きなテーブルが設置されており、観光列車気分で利用することができます。ふと見上げると、秋田犬の遮光スモークが張られていました。





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▲のどかな子吉川沿いを進む

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▲YR-1000形色の曲沢駅待合室

たとえどんなに小さな駅でも、見逃せないネタが潜んでいるものです。曲沢駅に停車したところで待合室を見ると、YR-1000形の初代塗装と同じ色になっていました。

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▲終点矢島駅に到着

トンネルを一つ抜けると、古い町並みが見えてきました。終点矢島に到着です。ここでいったん列車を離れ、出発時間を見計らい、駅に戻りました。

ちなみに、矢島には生駒氏ゆかりの城郭址や城下町が残っています。それほど大きな町ではないため、短時間でも簡単な観光ぐらいは可能です。

矢島~羽後本荘

矢島で待っていたのは、行きと同じYR-3001でした。

車内に乗客の姿はなく、結局他に誰も乗り込まないまま、矢島を出発。はたして、これから羽後本荘までの数十分間、他に乗客は乗ってくるでしょうか。

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▲矢島駅ホームから車止め・車両基地を眺めて

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▲矢島駅ホームから羽後本荘側を眺めて

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▲筆者以外に誰も乗っていない車内

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▲貸し切り状態の車内で寛ぐ

誰も乗ってこないまま、列車は前郷駅に到着しました。線内で唯一、列車交換ができる駅です。さっそく名物「スタフ交換」を見るため、駅員の動きを目で追いながら、対向列車の到着を待ち続けました。

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▲前郷駅に停車

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▲前郷駅ホーム上の待合室

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▲「ちょうかいおもちゃれっしゃ」と交換

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▲前郷駅を出発する矢島行き対向列車

前郷でスタフ交換シーンを動画に収め、おまけに対向列車もしっかり撮影したところで、再び車窓風景を見ながら復路を過ごします。結局誰も乗車してこないまま、終点羽後本荘駅に到着してしまいました。なんと、まさかの貸し切り状態でした。

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▲羽後本荘駅に到着!

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▲夕暮れ時の羽後本荘駅に停車するYR-3001

乗客が一人だけという状況に、悲惨な気持ちを感じると同時に、それでも淡々と業務をこなす運転士のプロ意識も垣間見えた復路でした。列車を降りる際に、深々と一礼した運転士の哀愁に満ちた背中が、印象に残っています。

最初と同じ羽後本荘駅のホームに降り立つと、一面夕日色に染まっていました。矢島線の運命を暗に示しているようにも見え、なんとも複雑な気分を抱きつつ、ホームを後にしました。

撮影日:2021年7月31日
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