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幻の台湾総鎮守は今...台湾神宮新社地跡をぶらり散策

台湾総鎮守として日本統治時代の台北・剣潭山に鎮座した「台湾神社」。

その最末期にあたる1944年(昭和19年)6月、神社名を台湾神宮に改め、新社地への遷座も予定されていました。ところが、軍用機が移転地に墜落・火災に至ったことで、新社殿は消失。ついに移転されることなく終戦を迎え、台湾は中華民国の占領下に入りました。

戦後、台湾神宮境内は円山大飯店敷地に取り込まれ、焼失した新社地跡は会員制保養施設「円山聯誼会」となり、現在に至ります。いずれも神社時代の面影を大幅に失っており、当時の遺構は断片的にしか残っていません。

当ブログの記事台湾神宮跡=円山大飯店(台北市中山区)―ホテルになった本島鎮守」では、現在の円山大飯店をたずね、旧境内にねむる遺構を数点ご紹介しました。今回は遷座直前で焼失した「幻の神社」こと、新社地跡の現状についてご報告します。



円山大飯店(台湾神社跡)から新社地跡へ


新社地跡へのアプローチ方法は複数ありますが、今回はその中から、円山大飯店経由のルートを選びました。ひっきりなしに行きかう車やバイクを気にせず、移動できるからです。台湾神宮の狛犬が鎮座する、遊歩道入口から円山大飯店に向かいます。

この遊歩道は剣潭山登山道に接続しています。そのせいか、多くの登山客とすれ違いました。かなり草生しているので、蚊やヌカカ対策をしてから立ち入りましょう。

台湾神社の狛犬
▲台湾神社の狛犬前から遊歩道に入る

台湾神社跡にたつ円山大飯店
▲遊歩道を上がって台湾神社跡(円山大飯店)へ

円山大飯店の裏側を通って忠烈祠方面に向かう
▲円山大飯店の裏側を通って大直(忠烈祠)方面へ

台湾神宮新社地跡全景
▲新社地全景

意外にも急な階段を上り詰めると、円山大飯店の真横に出てきました。ここから建物の裏手に回り、新社地跡に近づいていきます。

やがて、台北市街地を一望できる場所に出てきました。眼下に怪しい空間が見えるので目を凝らすと、それはまごうことなき新社地跡でした。建物はいかにも中華風の保養施設ですが、神社特有の細長い敷地形状はいまも健在です。

会員制保養施設になった新社地跡


それでは新社地に近づいてみましょう。

円山大飯店からの坂道を下ると、会員制保養施設「円山聯誼会」のゲートが見えてきました。守衛はいません。こちらにも剣潭山への登山口があるため、自由に出入りできるようになっていました。

円山大飯店と忠烈祠を結ぶ道
▲新社地に近づいてみよう!

円山大飯店と忠烈祠を結ぶ道
▲坂を下って新社地跡へ

台湾神宮新社地跡全景
▲新社地跡は保養施設に転用されている

円山大飯店からおよそ10分で新社地跡に到着しました。

いかにも旧官幣大社クラスの境内らしい、広大な敷地を有しています。社殿焼失から再開発の過程で、多くの遺構が消えていきました。敷地形状はそのままでも、神社としての雰囲気を見出すのは困難です。

台湾神宮新社地跡の石垣
▲社殿を支える予定だった石垣

そんな中、足元に気になるものを見つけました。とても堅牢な石垣です。台湾各地で目にする様々な石垣と比べて、それが明らかに強い頑丈さを誇るのは、想像するに難くないことでした。

台湾神宮新社地跡の石垣
▲石垣の状態は良好

敷地裏手に回ってみた


ぱっと見、神社遺構を「清除」できたようでも、じっくり観察してみれば、重要なものがしぶとく残っているさまを見て取れます。敷地全体を観察していて、それを実感できました。

台湾神宮新社地跡にたつ謎の石柱
▲敷地横にたつ謎の石柱
灯篭の柱か?


敷地裏手に回ってみると、中華式建築に不似合いな石柱がたっていました。電灯の柱として使われているものです。刻銘を削ったり埋めたりした痕跡がないので、台湾神宮の遺物かまでは断定できませんが、参考程度に記録しておきます。

今回は記録していませんが、本殿跡後方に筋塀が現存するほか、有事にご神体を疎開させる「防空洞」も残っているそうです。1970年代まで多くの遺構が残っていたことから、周囲をくまなく調査すれば、破却された遺物が見つかるかもしれません。

台湾神宮新社地跡の裏側から見た風景
▲裏側(剣潭山中腹)から新社地を俯瞰して

最後に剣潭山中腹の展望台から、新社地跡を俯瞰しました。境内敷地を真裏から見下ろすアングルです。

ここでふと、本殿跡から向かって真正面に、新生北路がまっすぐ伸びていることに気づきました。日本統治時代の新生北路は一本の水路でした。水田ど真ん中にグンと伸びる水路は、さぞかし壮観だったでしょう。

戦後80年で台北市街地の風景は一変しました。神社跡をとりまく環境も変わっています。はたして80年後、この場所はどう変わっているでしょうか。

撮影日:2023年12月15日
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